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 米Hewlett-Packard(HP)が米国時間1月16日,ナノ・サイズ・スイッチング回路と既存CMOSの組み合わせでFPGAチップの集積度を高めるLSIアーキテクチャ「field programmable nanowire interconnect(FPNI)」を発表した。HPによると,FPGAの集積度を現在の最大8倍高くできると同時に,消費電力を減らせるという。

 FPGAは,プログラムすることで任意の論理LSIを実現できるカスタムLSI。あらかじめ論理回路と配線が封止してあり,ユーザーが内部の配線を接続/切断するなどして論理回路の組み合わせを変え,必要な動きをするLSIを作る。

 HPのFPNIは,既存のCMOS論理回路を分子サイズのスイッチング回路「crossbar switch」で接続する。論理演算はすべてCMOS部分で処理し,論理モジュール間の信号伝達をCMOSトランジスタ層の上に設けたcrossbarで行う。CMOSトランジスタ自体の大きさは現行FPGAと同等であることから,FPNIベースのFPGAは既存の半導体製造設備を一部改修するだけで作れる。

 HPによると,従来のFPGAは信号伝達にCMOSの80~90%を使っていたという。「それに対しFPNIは効率よく信号を伝達できるため,論理回路用トランジスタの高密度化と,信号伝達に必要な電力の低減が可能」(同社)。

 現在HPはFPNIによるFPGA製造に取り組んでおり,2007年中に研究室レベルの試作品を完成できる予定。その後,15nm幅crossbarと45nmハーフピッチCMOSによるFGPAを2010年,4.5nm幅crossbarによるFPGAを2020年に実現できると見込む。HPでは「同じ45nm CMOSでも,4.5nm幅crossbarを組み合わせると,CMOSだけでFPGAを構成する場合に比べ面積を約4%に縮小できる」としている。

 FPNIの詳細は,英国物理学会のNanotechnology誌(1月24日号)に掲載する論文「Nano/CMOS Architectures Using Field-Programmable Nanowire Interconnect」で説明する。

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