日本オラクルは1月25日、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)などアプリケーション事業の拡大に向けた二つの施策を発表した。一つは、IT戦略コンサルティング・プログラム「Oracle Insight Program」の無償提供。「グローバルでビジネスを展開している企業」をターゲットに、経営層からの切り崩しを狙う。もう一つは、営業やSEで構成する業種別組織の増強だ。現在、20人の組織で金融や流通・小売り、製造、通信の業界をカバーしているが、この人員を今後1年で倍増する。
Insight Programでは、経営改革や業務改善といった経営上の課題に対して、どのようにITを利用していけばよいかという戦略立案を支援したり、導入予定のアプリケーションを使った場合の投資対効果を計測したりする。過去にコンサルティング会社で企業戦略の立案に携わった経験を持つコンサルタントがサービスを提供する。日本人も含め、コンサルタントは米オラクルに所属する。オラクル製品の導入を検討しており、「グローバルでビジネスを展開している企業」をまずターゲットとする。
米オラクルは2004年以降、ERPパッケージなどのアプリケーション事業を拡大するため、業種特化を進めた。米オラクルで業種別戦略を立案するインダストリーズ・ビジネス・ユニットの責任者を務めるソニー・シン上級副社長は、「ユーザー企業にとって、会計システムは競争力を生まないし、継続的に投資する分野でもない。企業競争力につながる業務アプリケーションを提供すれば、この分野でナンバーワンになれる」と語る。これまで米オラクルは、通信業界向けの課金アプリケーションを提供する米ポータル ソフトウェアや、銀行の勘定系パッケージを持つインドのi-flexソリューションズ、小売業で商品計画や商品管理アプリケーションの米リテックなどを買収してきた。買収金額は2004年以降で200億ドルを超えている。