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 米Microsoftは1月29日(米国時間),ニューヨークで発売祝賀イベントを催し,「Windows Vista」「Office 2007」の消費者向け正式販売を全世界で開始する。厳密に書くと,この日の予定は祝賀イベントだけで,実際の販売は翌1月30日に始める。

 当然ながらここでの疑問は,「今更この種の発売イベントが刺激になるのか」である。Microsoftは10年以上前,ワシントン州レドモンドの本社で盛大なイベントを開催し,「Windows 95」と「Office 95」を発売した。当時は世界中で,熱狂した消費者が“深夜のばか騒ぎ”に加わろうと販売店の外に列を作り,最初に新製品を手に入れる騒動に加わった。

 今回Microsoftは,Windows Vistaの立ち上げとマーケティングにこれまで以上に多くの予算を投ずるが,イベント自体は以前より地味になるようだ。1月30日に変わる深夜から開く店は何軒かあるが,10年前にWindows 95で経験したような騒ぎや興奮は,Windows Vistaに見当たらない。

 こうした変化が起きた理由の1つは,市場の成熟にある。Windows 95が突如現れた1995年,パソコンの環境はまだ暗黒時代にとどまっており,高速なインターネット接続など全く視界になかった。現在,世界の多くの地域が相互にネットワーク接続され,Windowsは安定性/安全性が大きく向上し,使える道具となった。簡単に述べると,Windows Vistaはこれまでほど多くの改善をもたらさない。購入するユーザーは,新製品だから理由もなくつい反射的に買ってしまうだけだ。

 大々的に展開したようなWindows 95発売時のテレビCMキャンペーンも,現在の状況では失敗するだろう。最先端の若い世代は,流行りものをみつけるのにインターネットを使うからだ。それに,今の最先端は「iPod」や「Xbox」,携帯電話機,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「MySpace」であって,Windowsではない。ましてOfficeなど若者の眼中にない。

 さらに困ったことがある。発売が何年も遅れたのに,Windows Vistaは,注目して導入を検討する価値のある製品なのだ。もちろんOffice 2007も同様だが,生産性を向上させるという触れ込みでは,今どき誰も大興奮しないだろう。第一,これまでOfficeはいつも発売時に「生産性を向上させる」と約束してきた。