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 ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)の新しい資格認定試験が登場することになった。現在「ITILファウンデーション」「ITILマネージャ」などの資格試験を提供しているエクシン・ジャパンは今年7月から、既存の資格試験に加えて、英APMグループが開発中の認定スキームを新たに提供する。

 これまでITILの資格試験は、ITILを開発した英国商務局(OGC)からの認定を受けたオランダのエクシン・インターナショナルと英BCS-ISEBの2社が同一の試験を提供してきた。しかしOGCが2007年1月から、ITILブランドの管理や資格認定試験、教育機関の認定などを民間の英APMグループに委託したことで、ITIL資格の認定スキームの先行きが不透明な状況だった(関連記事)。

 エクシン・インターナショナルは今回、APMグループと今後の資格試験の提供方法について契約を締結。エクシンは、これまで提供していたITIL試験すべてを、今後も引き続き提供することになった。加えて、APMグループが開発する独自の資格試験もエクシンが提供する。エクシン・ジャパンの中川悦子日本支社長は、「今回の契約締結により、懸念されていた混乱や分断は最小限に抑えられた。当社とISEBが築きあげたITIL資格スキームの知識をAPMグループの資格開発にも生かすことができる」と話す。

 エクシン・ジャパンが7月から新たに提供するAPMグループのITIL試験は当面、ITILバージョン2とバージョン3に準拠するファンデーション試験の英語版のみ。受験者はエクシンを通じて、エクシンの試験とAPMグループの試験から選択して受験できる。

 ITIL資格の教育事業者の認定もエクシン・ジャパンが引き続き行う。2007年7月以降は、APMグループのITIL試験を対象とする教育事業者も認定する。ただし、教育事業者の認定要件や費用は、それぞれの認定で大きく異なるという。 

 これまで事実上独占状態だったITIL資格が二つに分かれることで、競争による教育内容や試験の品質向上は期待できる。一方で受験者は、どちらの試験が自分にとって価値があるのかを見極める必要がある。APMグループの試験が登場して両者の評価が定まるまで、選択に頭を悩ませることになりそうだ。