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 金融庁の企業会計審議会は2月15日に総会を開き、上場企業に義務付けた内部統制報告制度の「基準」「実施基準」を承認、山本有二金融担当大臣に提出した。いわゆる「日本版SOX法」の基準・実施基準が正式に決まったことで、残る焦点は内部統制報告書のひな型を示す内閣府令、そして金融庁が作成を検討している、実施基準を補完するための「Q&A」に移った。内閣府令は3月末にも案を出し、パブリックコメントにかける見通しである。Q&Aについては明言を避けたが、早ければ3月内にも公表されると見られる。

 総会後、会見に臨んだ審議会の関係者は一様に、今回の実施基準が企業に過度の負担を強いない内容になったと改めて強調。特に、内部統制部会の八田進二部会長(青山学院大学大学院教授)は、「対応する企業は、初年度から無理をするのでなく、身の丈にあった整備を進めてほしい」と語った。

 その一例として、最も負担が大きい文書化作業は、企業が業務で蓄積した文書などをもっと活用すべきだという。「実施基準では、例として業務フロー図などを挙げたが、一言も『文書化3点セット』(業務記述書、業務フロー図、リスク・コントロール・マトリックス)が必要とは言っていない。上場企業なら内部統制は既に整備されているはずで、そのための文書もある。企業は既にある文書などの資産を棚卸ししてみてほしい」。

 現実としては、既にいくつもの監査法人やコンサルティング企業などが、米国での実務をもとにした文書化の実務セミナーなどを開催。企業も3点セットに基づいた文書化の社内教育に着手しているところが多く、いわゆる3点セットの作成がデファクトになりつつある状況である。

 「負担軽減」を強調する行政に対し、企業や監査法人は、米国での実務にならおうとしている。金融庁が作成を検討している「Q&A」や今後の広報活動で、こうしたギャップをどう埋めるかが課題になりそうだ。