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山電情報センター システム事業部のメンバー。左から,大崎邦彦氏(課長代理),高田正裕氏(主任),衣笠浩平氏(主任),衣笠正俊氏(課長)
山電情報センター システム事業部のメンバー。左から,大崎邦彦氏(課長代理),高田正裕氏(主任),衣笠浩平氏(主任),衣笠正俊氏(課長)
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 山陽電気鉄道は,仮想化ソフト「VMware ESX Server」を使い,社内の業務サーバーを統合した。NT4.0上で稼働していたアプリケーションを,最新のハードウエアで継続利用できることが,仮想化ソフトを採用した理由。統合作業は,同社のグループ会社である山電情報センターが担当した(写真)。

ハード/ソフトの“組み合わせ制限”を超えたい

 同社は,鉄道事業「山陽電車」や,バスによる自動車事業などを展開する。今回統合したサーバーはいずれも,こうした事業を支える基幹システム。例えば,乗務員の勤怠管理,鉄道やバスの運賃管理,バス車両の管理などを担う。元はメインフレームで稼働させていたが,2000年問題を機にオープンシステムへと移行した。

 オープンシステムの構成は,サーバー「Windows NT Server 4.0」上で「Oracle 7.3.4」を稼働させ,クライアント「Windows NT Workstation 4.0」に導入した「VB(Visual Basic)」アプリケーションからアクセスする,という形が代表的である。「稼働開始から5年あまりが経ち,サーバー機(NEC EXPRESS 5800/130RPRO)の故障が目立ってきた。保守部品の手当てが不安になってきたので,サーバー機の入れ替えを検討しはじめた」(山電情報センター システム事業部 課長代理 大崎邦彦氏)。

 当初は,サーバー機を単純にリプレースしようと考えた。しかし,サーバー機を選定した2005年春の段階で,NT4.0が動くマシンは既に無かったという。OSをWindows Server 2003にバージョンアップすれば問題は回避できるが,Windows 2003ではOracle 7.3.4の稼働が保障されていない。かといってOracleをバージョンアップすれば,既存のストアド・プロシージャを検証する手間が掛かる・・・。典型的な“オープンシステムの組み合わせ制限”の壁に行く手をはばまれてしまった。

 この壁に風穴を開けたのが「仮想化」の技術だった。プロジェクト・メンバーである高田正裕氏(システム事業部 主任)がVMwareに関するセミナーに参加し,「基幹システムでも仮想化が使えそうだ」との感触をつかんだ。最新サーバー機の上に仮想サーバーを設ければ,NT4.0をそのまま動かせる。拠点間のネットワーク増強にも後押しされ,プロジェクトはVMwareを使ったサーバー統合へと歩を進めた。

移行ツールでは対処し切れなかった

 サーバー統合に当たり,VMwareとサーバー機の組み合わせで,SIベンダー4社によるコンペを行った。移行対象のサーバー機は全部で11台,その内訳はDBサーバー(4台),PDC(1台),BDC(2台),BDC/Exchange Server(1台),テスト用(1台),運用管理(1台),ファイル(1台)である。これらを,本社(神戸市長田区),鉄道事業部(明石市二見区),自動車営業部(神戸市垂水区)の3拠点に分散配置していた。ちなみに,PDCはWindowsアカウントの管理サーバーであり,BDCはそのバックアップ・サーバーである。

 統合後のサーバーは本社のみに配置する。サーバー機は統合のタイミングで2台のBDCを削減。残りの9台を,「何台の物理サーバー上に,何台の仮想サーバーを設けて統合するか」を含めて4社から提案を受けた。2005年7月,4社の中から最終的にNECを選んだ。「仮想化の環境に移行しても,旧サーバーで使っていたNECの運用管理ソフト“ESMPRO”をきちんと運用できることが決め手となった」(大崎氏)。テスト用を除いた統合後の業務サーバーは3台とした。

 統合作業は2005年12月に開始,2006年3月に完了する予定だった。ところが,「仮想サーバーへの移行につまずき,移行完了は2006年7月にずれ込んだ」(システム事業部 主任 衣笠浩平氏)。原因は,移行ツール「PowerConvert」が思うように動かなかったこと。PowerConvertは,移行元である物理サーバーのバックアップから,移行先の仮想サーバー用のブートイメージを作成する。しかし,このイメージを使うと仮想サーバーが立ち上がらない現象が発生した。「物理サーバーのHAL(Hardware Abstraction Layer)がマルチプロセッサ版にもかかかわらず実際のCPUが一つの場合に,仮想サーバー用のHALが正しく構成されなかったようだ」(衣笠氏)。この問題に関しては,手作業でHALを調整し仮想サーバーへ移行することで対処した。

 そのほかネットワークの設定やアクセス権が移行できない場合もあったが,こうした問題をつぶしサーバーを1台ずつ移行していった。同社では,VMware ESX Serverの導入に合わせて,物理サーバーをまたいで稼働中の仮想サーバーを移動させる「VMotion」というオプション・ツールも導入した。「サーバーにパッチを当てるときなどに利用すると便利だ」(システム事業部 課長 衣笠正俊氏)という。