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 米運輸省(DOT)が2007年1月,互換性検証が終わるまで「Windows Vista」や「Microsoft Internet Explorer(IE)7.0」「the Microsoft Office 2007 system」をインストールしないよう伝える職員向けメモを送ったところ,大変な論争となった。これに対し米Microsoftは,「DOTだけの一時的な対応であり,政府機関による当社の新製品の導入状況は民間企業と変わらない」と述べた。

 DOTのCIOであるDaniel Mintz氏が1月に出したこのメモは,2月になってオンラインへ流出し,その結果DOTによる新しいMicrosoft製品の一時禁止措置が明るみになった。Mintz氏はメモのなかで,「『魅力的な技術や事例がない』ようだ」と述べ,アップグレードしない理由として(一部アップグレード費用に関係する)様々なコストと(特に「Microsoft Word」における)「バージョン互換性の懸念」を挙げた(後者の懸念はほとんど間違いだ。Mintz氏は内外のアナリストから得た情報を参考にしていると認めた。ただし,こうした互換性の懸念は,ほとんどがオプション機能であるOffice 2007の新しい文書フォーマットに関係する)。

 Windows Vista禁止令のニュースは2月に広まり,Linux/Macintosh派のWebサイトの多くはWindows Vistaの販売が予想を下回ったことの証拠とみなした。しかしMicrosoftは,Windows Vistaの導入が見込み通り進んでいるとした。Microsoft連邦政府向け販売部門のWindowsクライアント・ソリューション専任担当者であるPatrick Svenburg氏によると,「Windows Vista向け早期導入プログラムは過去最大の規模であり,パートナの10%以上が連邦政府関係」という。「これは,連邦政府との関係が過去最大になったことでもある。われわれは政府組織の懸念や優先事項に対応するため,Windows Vistaのあらゆる開発段階で密に連絡してきた」(Svenburg氏)

 Microsoftは3月にDOTと話し合いの場を設け,懸念一掃を図る。ただし,3つある財政的理由のうちの2つ(DOTの予算削減と,2007年後半の本部移転にともなう出費)は,アップグレード費用とほとんど関係なかった点に注意が必要だ。それにDOTは,政府におけるWindows Vista導入の代表例などでない。Windows Vistaの大幅なセキュリティ機能変更は,データ・セキュリティが最重要課題となっている政府機関の方が高い関心を示すだろう。

 つまりDOTで一時的な移行禁止措置が出たとしても,これまで通り政府組織は,それぞれのスケジュールに従ってWindows VistaやほかのMicrosoft製品に移行するだろう。もちろん,ソフトウエア移行への取り組み方をみると,政府組織の行動は最も遅い部類に入る。Microsoftが大口販売を期待する大企業よりも,政府組織の移行ピッチは遅いのだ。

 「Moratorium Regarding Desktop/Laptop Computer Software Upgrades to Microsoft Windows Vista, Office 2007 and Internet Explorer version 7」(デスクトップ/ノート・パソコンにおけるMicrosoft Windows Vista,Office 2007,Internet Explorer version 7へのソフトウエア・アップグレードの一時禁止)(PDF形式)