セールスフォース・ドットコムは3月27日、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供しているCRM(顧客関係管理)アプリケーションの最新版「Salesforce Spring '07」を発表した。前版「Winter '07」の提供から約3カ月でのバージョンアップとなる。検索やワークフロー管理など約100種類の機能を強化した。利用料は前版と同じで、1ユーザー当たり月額7500円からである。
利便性を高めるため、Spring '07ではユーザー・インタフェースを改良している。特定のデータを検索しやすくするために、検索結果を並べ替えたり、独自の検索画面を作れるようにしたりした。このほか、素早くデータを閲覧できるようマウスのカーソルを項目名に合わせるだけで、関連するデータを表示する機能も追加した。
ワークフロー機能については、「時間」軸で業務プロセスを管理できるようにした。「商談から7日過ぎたら、商談状況を確認するメッセージを表示する」といったルールを、ユーザーは自由に作り込むことができる。ベータ版での提供ではあるものの、Apexコードと呼ぶ独自の開発言語を使うことで、事前に定義した業務プロセスに沿ってデータ処理を自動化することも可能だ。
Spring '07の発表に合わせ、セールスフォース・ドットコムは新サービス「AppSpace(アップスペース)」の提供も明らかにした。特定の顧客や取引先と、情報を共有するためのサービスだ。注文や保守・サービスの進捗状況を顧客に公開したり、プロジェクトの進捗状況を協力会社と共有したりできる。まず、親会社である米セールスフォース・ドットコムが、4月から北米の一部ユーザーを対象にサービスを開始。日本でのサービス提供は、8月以降になる見込みだ。利用料は1組織当たり月額995ドルで、これとは別に1ユーザー以上のSalesforce利用契約が必要になる。
セールスフォース・ドットコムは、ここ数年、みずほグループやヤマハ、リコーといった大手企業の開拓に注力してきた。だが、「2007年は改めて、中堅・中小企業の開拓に力を入れる」と宇陀栄次社長は強調する。テコ入れのために同社は、中堅・中小企業を担当するコーポレートセールス部門を新設したほか、現在30人弱の営業部員を年内に60人まで倍増する計画だ。