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 国土交通大臣の諮問機関である「航空機内における安全阻害行為等に関する有識者懇談会」は2007年3月28日、2004年に施行された改正航空法の見直しに関する提言をまとめた。

 この中で、改正航空法で規制されている旅客機内での電子機器の使用について、法律に抵触する使用が年間40~70件程度報告されており、運行計器に異常をきたす事例も増加していることが明らかになった。無線LAN機能を備えたゲーム機など、施行当時は想定していなかった電子機器の増加も踏まえ、改正航空法による使用規制の対象となる電子機器を増やすよう、同懇談会は提言している(発表資料)。

 改正航空法と同法施行規則では、機内での喫煙や暴力、乗務員の業務の妨害、シートベルトの不着用などと併せ、電波を発する電子機器などの使用を「安全阻害行為等」として制限している。具体的には、携帯電話やパソコン、携帯情報端末(PDA)、トランシーバーなどで電波を発する状態にあるものは常時使用禁止、電波を発しない状態のものは離着陸時使用禁止。携帯音楽プレーヤーやデジタルカメラ、テレビ、ラジオ、ポケットベルなどは離着陸時使用禁止と定めている。出発空港でドアが閉まってから、到着空港でドアが開くまでが対象。違反者に対しては50万円以下の罰金を科しているほか、機長に違反者の拘束や降機といった強い権限を与えている。

 同懇談会の報告書によると、安全阻害行為等として報告される案件はおおむね年間400件弱。このうち、電子機器の使用に関する案件は年間40~70件程度で推移しており、「化粧室での喫煙」(年間200件前後)に次いで多い。1999年が年間10件だったのに対し、2005年は年間48件と、報告件数が増加傾向にあるという。報告内容としては、機内での携帯電話の使用が最も多い。

 報告書では、機内での電子機器の使用が原因で運航に影響が出たと推測されるケースを記載している。これによると、(1)無線にノイズが発生、(2)衝突防止装置が誤作動し回避指示が発せられた、(3)自動操縦で上昇中に機体が急に横方向に25度傾いた、(4)自動操縦装置で水平飛行中に高度が設定値より400フィートずれた、(5)着陸進入時に自動操縦装置の表示が大きくずれて元に戻らなくなった---といったケースが報告されている。原因と思われる電子機器は、携帯電話が6割強と最も多く、次いでパソコンの1割強となっている。

 すべてのケースで電子機器の使用が原因だと断定されたわけではないが、「障害が発生したケースの約9割で電子機器を使用する者の存在が確認されている」「障害発生時に電子機器の使用を控えるようアナウンスした結果、約5割で障害が復旧した」といった状況を踏まえ、電子機器が発する電磁波による運行計器への干渉が疑われると結論づけている。

 規制対象の電子機器については、「新規に追加すべきもの」として無線LAN内蔵のゲーム機、ワイヤレスマウスなどのパソコン周辺機器、携帯電話用の充電器、アクティブ型電子タグの4項目を挙げた。このほか、音声センサー・接触センサー付き電子玩具も悪影響が懸念されるとして、引き続き調査していく。

 一方、現在規制対象となっている機器のうち、電卓と電子回路を含まないヘッドホンについては、「対象から除外すべきもの」として挙げた。今後、国土交通省が個々の機器について追加・削除の是非を検討した上、7月ころまでに航空法施行規則に盛り込む見通し。

 現行の改正航空法と同法施行規則は2003年7月に成立、2004年1月に施行されているが、既に現状との不整合も現れ始めている。例えばゲーム機に関しては、「ニンテンドーDS」や「プレイステーション・ポータブル(PSP)」といった無線LAN内蔵の製品が普及しており、機内での使用も増えている。しかし、現行の航空法施行規則では「離着陸時のみ作動させてはならない電子機器」として指定されており、仮に無線LANの電波を発射させていても法律上取り締まれない状態となっていた。現状に合わせて航空法と同法施行規則を改正することで、こうした不都合を解消することを狙う。

 国土交通省は、「現在は対象となる機器を個別に指定しているが、この表現でよいのかどうかも再検討する。同法施行規則で認めるもの以外は原則禁止とするという考え方もある」(航空局航空保安対策室)としている。