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 東芝は2007年4月12日、向こう3年間の中期経営計画を発表した。中核事業であるNAND型フラッシュメモリーでは、新工場建設で生産規模を拡大。有機ELテレビや原子力発電所などの他部門でも事業規模拡大を図り、2010年度に売上高9兆5000億円、営業利益率5%以上の水準を目指す(発表資料)。

多値NAND使ったSSD、2007年度中に発売

 NAND型フラッシュメモリーでは、3年間で1兆円の設備投資を実行。製造プロセスの微細化による生産効率向上と、新工場建設による生産規模拡大を並行で進める。

 前者では、2007年1月に線幅56nmと従来品(70nm)より微細な品種の量産を開始。既存の生産ラインを順次56nmへ移行させるほか、2007年度以降はさらに微細な線幅43nm品の量産にも道筋を付ける。

 後者では、現行の最新ラインである第3製造棟を月産15万枚(300mmウエハー換算)体制でフル稼働させ、さらに月産21万枚規模の第4製造棟の稼働も2007年10~12月に開始する。さらに2007年度中に第5製造棟の構想を具体化させ、工場の所在地などを決めるとしている。

 同社は、NAND型フラッシュメモリーについて、向こう3年間の平均で年率50%の単価下落が市場で起こると予測。収益性を確保するため、1つの素子に2ビット(4値)以上のデータを記録できる多値品を柱に据える。東芝 代表執行役社長の西田厚聰氏は、「2007年度中に、多値品のNAND型フラッシュメモリーを内蔵したノートパソコン向けフラッシュメモリードライブ(solid state disk:SSD)を発売し、東芝製ノートパソコンにも内蔵する」との計画を明らかにした。

SEDは特許問題次第

 デジタル家電関連では、2007年10~12月の市販を目指しキヤノンと共同で進めてきたSED方式のテレビについて、中期経営計画への算入を見送った。SEDパネルの特許問題をめぐりキヤノンと米企業との間で訴訟が起きていることを踏まえ、「SEDの戦略的位置付けは変わらないが、特許問題が解決しなければ次に行けない」(西田氏)として、当面は事態を静観する構えだ。

 SEDに代わって今回の中期経営計画で掲げたのが、大型有機ELパネルの事業化だ。「東芝松下ディスプレイテクノロジーは中小型の有機ELのみ開発していたが、大型の有機ELを2009年度に出す。低分子系と高分子系の双方で事業化を進める」(西田氏)と明言した。

 このほか、HD DVDは2009年度に売上高2000億円を目指す。「日本向けに高性能品、欧米向けに低価格機を間もなく発表する。ノートパソコン内蔵用のスリムドライブも(機器メーカーが)採用しやすい価格帯で出荷し、HD DVDの普及を促す」(西田氏)。

 パソコン事業は、ブラジル・ロシア・インド・中国(BRICs)での販売量を増やし、2006年度の1兆円弱から、2009年度には1兆2000億円まで規模を拡大。日米欧市場では、現在の事業規模を維持する。

 電力システムでは、2006年度に買収した米ウエスチングハウス(WH)の事業を強化する。WHの新型原子炉を米国と中国で販売するほか、アジアや中近東などでのプラント建設も引き続き進めていく。懸案となっているロシアでの原子力発電所建設事業への参入については、「日ロ間の原子力協定締結交渉の進展を望んでいる」(西田氏)とした。