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写真●ウィルコムの近義起CTO執行役員副社長
写真●ウィルコムの近義起CTO執行役員副社長
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 「モバイル環境のブロードバンドを実現するには,ネットワーク全体の通信容量の確保が必要。高速化だけでは『ブロードバンド』とは呼べない。多数のユーザーが大きなデータ量を扱っても安定した通信ができる次世代PHSが本当のブロードバンドといえる」――。

 ウィルコムの近義起CTO執行役員副社長は4月12日から13日に開催したプライベート・イベント「WILLCOM FORUM & EXPO 2007」において技術戦略について講演し,同社が推進する無線によるブロードバンド規格「次世代PHS」の優位性をアピールした(写真)。

 同社は,電波が割り当てられれば2009年ごろから次世代PHSの商用サービスを展開するとしている。こうした無線ブロードバンド・サービスを巡っては,第3世代携帯電話(3G)の高速化版,モバイルWiMAXといった規格を利用する携帯電話事業者がライバルになる。近副社長は,次世代PHSは同社が構築してきたPHSネットワークが“大容量”である点で他社よりも優位に立てると主張した。

 近副社長によると,現在の有線によるブロードバンド環境では,1ユーザーが1カ月当たり5Gから10Gバイトのデータをダウンロードするという。無線通信の高速化が進んでいけば,「無線通信でも,今後同程度の通信量になっていく」(近副社長)とみる。しかし,実際に無線ネットワークがそれだけのデータ量を処理できるかというと,「携帯電話やWiMAXでは限界がある」との見解を示した。

 というのも,携帯電話などに代表される「マクロセル」のネットワーク設計では,ネットワークの容量が不足すると見るからだ。通信速度が高速でも一つの基地局で多くのユーザーが同時に通信すれば,一人当たりの通信速度は低下してしまう。その結果,大きなデータを満足に扱えない可能性があるとした。一方のウィルコムは,「16万局の基地局一つひとつで小さな範囲をカバーする『マイクロセル』のネットワークになっている」(近副社長)。基地局を同時利用するユーザーが結果として少なくできるため,通信速度は落ちにくく,大きなデータをやり取りできるというわけだ。

 近副社長は,「次世代PHSは,現行PHSのマイクロセル・ネットワークをベースに通信速度を高めていく。そのため,多数のユーザーが高速通信可能なネットワークが実現できる。ここまで苦労して16万の基地局を設置したかいがあった」と,次世代PHSの技術面の優位性に自信を見せた。

 なお,次世代PHSは,ITU(国際電気通信連合)のM.1801勧告案において,無線によるブロードバンド・システムの国際標準規格に加えられたと,PHSの標準化団体であるPHS MoUが4月6日に会員向けのメーリングリストで明らかにしている。