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写真1●HitwiseのGeneral ManagerであるBill Tancer氏 [画像のクリックで拡大表示] |
インターネット調査会社の米HitwiseのGeneral ManagerであるBill Tancer氏(写真1)が,4月17日(米国時間)に行われた「Web 2.0 Expo」の基調講演でこのような興味深い統計データを明らかにした。
Tancer氏は,プロフィールに「data geek」と書くほどのデータ好き。「ここにいるみんなもそうだろう」と語りながら,同社がモニター調査によって集めたWeb 2.0に関する統計を明らかにし始めた。
まず同氏が示したのは「Web 2.0サイト」への訪問者数が,この2年間に6倍に増えている点だ(写真2)。Web 2.0サイトの代表格であるWikipediaと,既存の百科事典をベースにした「Encarta」のWebサイトを比較すると,その差はさらに顕著になる(写真3)。また写真3に示した図の右側の円グラフは「教育の場で参照される割合」を示しており,Wikipediaが1位で,質問サイトの「Yahoo! Answers」が2位になった。「Wikipediaをそのまま信じて参照する学生が多いらしい」という懸念が実証された格好だ。
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写真2●訪問者数が急増しているWeb 2.0サイト [画像のクリックで拡大表示] |
写真3●Wikipediaの訪問者数はEncartaを圧倒した [画像のクリックで拡大表示] |
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写真4●Kodakのサービスよりも強いFlickr [画像のクリックで拡大表示] |
訪問者は急増しているものの参加率は……
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写真5●「参加率」はいずれのWeb 2.0サイトも低水準 [画像のクリックで拡大表示] |
さらに参加率を世代や性別で分類すると,より興味深いデータが導き出された。例えば,写真6はWikipediaを「閲覧」しているユーザー(上)と「編集」を行ったユーザー(下)を,それぞれ世代別に比べてみたものだ。これによると,Wikipediaを「閲覧」しているユーザーに世代別の偏りはない。18~24歳の若者でも25.89%を占めている。これに対して,18~24歳のユーザーで「編集」した人に占める割合は4.68%にまで低下する。逆に55歳以上は「閲覧」に占める割合は11.33%と低いが,「編集」に占める割合では25.59%にまで高まる。Wikipediaの場合,総じて35歳以上による「編集」が多いことが分ったのだ。
YouTubeにおける傾向も示された(写真7)。YouTubeへの訪問者に占める割合では,18~24歳の比率が30.55%と高い。しかしビデオをアップロードした人に占める割合でみると,18~24歳の占める比率は1.34%と急激に落ちる。YouTubeに最もビデオをアップロードしている世代は35~44歳で,その割合は35.65%だった。
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写真6●Wikipediaの「閲覧」と「編集」を世代で分析 [画像のクリックで拡大表示] |
写真7●YouTubeの「訪問」と「投稿」を世代で分析 [画像のクリックで拡大表示] |
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写真8●Web 2.0サイトにおける「訪問」と「参加」に占める男女比 [画像のクリックで拡大表示] |
HitwiseのTancer氏は,もう1つのデータを示した。それは「Web 2.0サイトでは,勝敗が非常に早く決する」ということだ。その説明に使用したのは,YouTubeに関するデータだ。YouTubeの登場以前,ビデオ分野で人気のあるサイトは,1位が「Yahoo!」の動画サイトで,2位が「Google Video」。しかしYouTubeの登場からわずか6週間で,GoogleもYahoo!も抜き去られたという。Tancer氏は,「Web 2.0サイトにとって重要なコンテンツを投稿するようなユーザー層は,かなり初期の段階で『どのサイトを使うか』を決めてしまう」ことが,このような短期決戦現象を生じさせるのだと分析した。
なお「Web 2.0 Expo」の基調講演では,Hitwiseに続き,米TechnoratiのDavid Sifry創業者兼CEOも統計データを基にした講演を行った(関連記事)。