PR
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

 「ビジネスのスピードに対応しながら、イノベーションを起こすことのできるシステムはSOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいたものだ。これまで以上のスピードと価値を顧客にもたらす、SOAに基づいたシステムのあり方について、講義を始めよう」。米ジョージア州アトランタで開催されている独SAPのイベント「SAPPHIRE 07 Atlanta」の基調講演で、同社の共同創業者であり、スーパーバイザリ・ボードの議長を務めるハッソ・プラットナー氏(写真上)はこう語り出した。黒板をイメージした手書き風のプレゼンテーションを利用し、プラットナー氏は新たなアプリケーションの開発に不可欠な技術を解説した(写真下)。

 プラットナー氏が講演の中で挙げた考え方や技術は10以上。特に強調していたのは、アプリケーションの開発段階における「Cloud Computring」の考え方だ。その実現要素の1つとしてプラットナー氏が挙げたのが「コミュニティ」である。

 プラットナー氏はCloud Computingを実施するコミュニティの例として、約7万5000人が参加する独SAPの開発者コミュニティ「SAP Developer Network」から、動画共有サイトの「YouTube」、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「MySpace」までさまざまな例を挙げた。

 「SAP内外の力を合わせて、新しいアプリケーションを開発すれば効率がよい。多くの利用者が欲しいサービスを開発すれば、より良いサービスが安価で提供できるようになる」(プラットナー氏)。加えて、「実際に提供したアプリケーションを、さまざまな人に利用してもらい、その意見を反映する。こうすれば、より良いアプリケーションが提供できるようになる」とコミュニティを利用した開発に期待を寄せた。

 アイデアの共有を経て次に、アプリケーションの開発に欠かせない考え方として「SOA by design」を提唱した。SOAに基づいてシステムが連携できるように開発したアプリケーションを指す。SOA向きに開発されたアプリケーションは、ユーザー・インタフェースとビジネス・ロジック、データを分離していることが前提だ。これにより、「柔軟で新しい組み合わせが可能な『エンタープライズ・マッシュアップ』が実現できる」(同氏)。プラットナー氏の定義による、エンタープライズ・マッシュアップは、複数のアプリケーションを組み合わせて、新たなアプリケーションを作る「コンポジット(複合)・アプリケーション」のことである。

 またSOAに基づいて開発されたアプリケーションのあるべき姿として「イベント駆動型」や「Harmonaized UI」などのコンセプトを挙げた。両者とも「システムを利用する人間を中心に考えれば当然のことだ」とプラットナー氏は話す。イベント駆動型は、トランザクション・データなどの発生をきっかけに、さまざまなアプリケーションを連携させて、「システムの利用者の生産性を向上させる。3年前から提唱していて、新しいものではないが重要な考え方」(同氏)。Harmonaized UIは、モバイル、ブラウザ、Officeソフトなど、「異なる画面から接続してもユーザー・インタフェースを一貫して同じにする」という考え方だ。「これを実現するためには、ビジネス・ロジックと画面を完全に分離する必要がある。これはSAPでも1回、失敗しかけた難しい作業だ」(同氏)という。

 最後に、開発したアプリケーションの提供形態の理想系として「on-demand Service」をプラットナー氏は挙げた。「システムの構築期間は誰でも短くしたいもの」とオンデマンドが有用な理由をプラットナー氏は説明する。一方で、「Google Maps」を例に「1度作成したら、何度でも同じものを配布可能で、アプリケーションの提供側にもメリットはある」(同)として、開発側のメリットも強調した。プラットナー氏は、「オンデマンド型は、これまでSAPが苦手としていた中堅中小企業に向いている」と発言した。具体的な言及はなかったが、今年後半にも投入が見込まれている中堅企業向けの新製品「A1S」は、SaaSとしての提供が予定されており、プラットナー氏の発言は「A1S」を念頭に置いたものとみられる。