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 総務省は4月24日,2008年度以降の固定電話の接続料の算定方法を決める委員会(情報通信審議会電気通信事業部会接続委員会)を開催した。現行の固定電話の接続料は,長期増分費用モデル(第3次モデル)に基づいて算定している。同モデルの適用期間は2007年度までで,2008年度以降は市場環境の変化を踏まえて再度議論することとなっていた。

 具体的な検討項目は,(1)長期増分費用モデル研究会がまとめた新モデルの評価,(2)NTS(non traffic sensitive)コストの扱い,(3)接続料の算定に用いる通信量の考え方,(4)NTT東日本とNTT西日本における接続料の格差の扱い,(5)新モデルの適用期間,(6)新モデル適用期間後の接続料の在り方である。

 中でも注目されるのは,NTSコストの扱い。現行の長期増分費用モデル(第2次モデル)では,それまで接続料として徴収していたNTSコストを2005年度から2009年度までの5年間で段階的に除外することとなっている。NTSコストを接続料から除外する点は変わらないが,「5年間で段階的な除外」という部分を見直す可能性が出てきた。

 背景には,2007年1月から実運用が始まったユニバーサルサービス制度の問題がある。除外したNTSコストはNTT東西地域会社が負担することになるので,基本料収支の悪化につながっているのだ。現在ユニバーサルサービスの1電話番号当たりの負担は月額7.35円だが,NTSコストの影響で今後高くなることが確実となっている。

 情報通信審議会はこの点を問題視し,3月30日に総務省に対して2008年1月以降のユニバーサルサービス制度の補てん対象額の算定規則を見直すことを要望(関連記事)。総務省は4月19日に算定規則の改正案を提示した(関連記事)。ユニバーサルサービスの算定規則の見直しはNTSコストの在り方と密接に関係することから,両方を並行して議論することとなった。ユーザーの負担を減らすという観点から,NTSコストの段階的な除外を5年ではなく6年などに引き伸ばす可能性がある。

 一方,別の見方をすれば,NTT東西の負担を軽くする狙いのようにも映る。ユニバーサルサービス制度の算定規則の見直しで,NTT東西の収入は減る。ユニバーサルサービス制度によるNTT東西への補てんは当初,2007年度が195億~275億円,2008年度が280億~380億円と推定されていたが,算定規則の改正後は2007年度が96億~127億円,2008年度が129億~168億円に減る見通しだ。NTT東西の反発は必至で,NTSコストの段階的な除外を引き伸ばせば,NTT東西への影響が軽くなる。

 5月22日に開催予定の次回会合ではNTT東西をはじめ,KDDI,ソフトバンク,フュージョン・コミュニケーションズ,九州通信ネットワーク,ウィルコムにヒアリングを実施。その後,論点を整理して7月中旬に報告書案をまとめる予定である。