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 「ビジネスのスピードは上がり、M&A(企業の合併・買収)が増えている。社内外のシステムを統合するためのニーズはどんどん高まっており、サプライヤも含めて多くのシステムを“ネットワーキング”する必要が出てきた。こうした環境には、柔軟なシステムを、安価に構築できるSOA(サービス指向アーキテクチャ)が最適だ」。独SAPのCEO(最高経営責任者)のヘニング・カガーマン氏(写真上)は、同社の推進する「Enterprise SOA(E-SOA)」についてこう自信を見せる。カガーマン氏の発言は、米ジョージア州アトランタで開催中のイベント「SAPPHIRE 07 Atlanta」の基調講演でのものである。

 カガーマン氏は基調講演のなかで、2012年までの製品ロードマップを初めて公表した。柱は2つ。1つはERP(統合基幹業務システム)以外の業務アプリケーションを完全にSOAに基づいたものにすること。もう1つは、中堅企業向け新製品「A1S(開発コード名)」をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供(写真下)。09年には機能を大企業向けに拡張し、既存製品と連携できるようにすることだ。

 既存製品のアーキテクチャの変更については2段階で進める。1段階目は、07年中にERP以外のCRM(顧客情報管理)や(サプライチェーン・マネジメント)といった製品を含め、すべてのアプリケーションをE-SOAに基づいたアーキテクチャに変更する。2段階目は、08年中にすべてのアプリケーションについて「安定」したバージョンを出荷。以降はERP、CRM、SCMなどすべての製品について、バージョンアップが同時に可能になる。これらの製品のサポートは12年まで継続する計画だ。

 独SAPは昨年、ERPの最新版である「SAP ERP 2005」を10年までメジャー・バージョンアップしないと宣言。今後の拡張する機能は、年に数回発表される「エンハンスメント・パック」として提供する方針を打ち出した。今回の発表はERP以外にも同じ考え方を適用するための、具体的な施策といえる。

 もう1つの柱である「A1S」について、カガーマン氏は「既存の製品をSaaSとして提供するものではない」と説明。A1Sは、E-SOAの考え方に基づいて、データ・モデルやビジネス・プロセスを再定義した「新製品である」(同氏)とした。中堅企業向けとしている理由について、「A1Sを出荷する段階では、大企業向けに必要な機能を十分にそろえられない」という。

 09年には、A1Sの利用者のフィードバックを受けて、大企業でも利用できる「Process Extensions」の提供を予定している。Process Extensionsはサービス化したアプリケーションの集合体。既存のSAP製品や非SAP製品と組み合わせて、コンポジット(複合)アプリケーションを作成するといった使い方を想定している。

 Process Extensionsは、インストール形式に加え、SaaSとしても提供される見込みだ。この時点で、SaaSとして提供されるサービスと、インストール形式で構築したシステムが「シームレスに連携できるようになる」(カガーマン氏)という。ただし「すべてのアプリケーションをSaaSとして提供する予定はない」(同氏)と断言した。

 カガーマン氏は製品戦略とは別に「SOA by evolution」と「SOA by design」という2つの考え方を打ち出した。SOA by evolutionは、以前から出荷しているアプリケーションをサービス化し、ミドルウエア群「NetWeaver」上で動作するようにしたもの。一方のSOA by designは、E-SOAに基づいて新規に開発された製品を指す。既存製品である「ERP 2005」や、そのほかのCRM(顧客関係管理)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)などのアプリケーションは「SOA by evolution」製品に、「A1S」は「SOA by design」製品となる。