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JEITA ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会 委員長の山本正己氏
JEITA ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会 委員長の山本正己氏
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ノートパソコンのバッテリーパック。一般に、セル(単電池)を3~9個組み合わせた構造となっている
ノートパソコンのバッテリーパック。一般に、セル(単電池)を3~9個組み合わせた構造となっている
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特別委員会で検討中のセルの試験。満充電したセルの被膜をめくり、不純物を中に挟んで押し込み、内部回路を人為的にショートさせる
特別委員会で検討中のセルの試験。満充電したセルの被膜をめくり、不純物を中に挟んで押し込み、内部回路を人為的にショートさせる
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 電子情報技術産業協会(JEITA)と電池工業会は2007年4月20日、リチウムイオン電池をノートパソコンで安全に使用するための、パソコンメーカー向けガイドラインをまとめた。ノートパソコンに内蔵されたリチウムイオン電池をめぐり、発火・発煙などの事故が2006年に多発したことを踏まえ、回路配置や充電・放電、安全性試験の方法などをまとめたもの。JEITA会員のパソコンメーカー各社に採用を積極的に働きかけるほか、国際規格として標準化することを目指す(発表資料)。

 JEITAは2006年11月に、ノートパソコンで安全にリチウムイオン電池を扱うための方策を検討する特別委員会を設置。電池工業会と共同で、一般消費者向けにリチウムイオンの正しい扱い方を周知する一方、パソコンメーカーと電池メーカー各社のノウハウを基に、業界標準となるガイドラインの策定を進めていた。これをまとめたものが、今回公表した「ノートPCにおけるリチウムイオン二次電池の安全利用に関する手引書」である。同手引書は、セル(単電池)、バッテリーパック(組電池)、試験・判定の3章に分け、それぞれについて使い方や試験方法などの詳細を規定している。

 セルについては、(1)製造時に不純物を混入させないこと、(2)万一不純物が混入しショート(短絡)が発生しても破裂・発火しない構造とすること、(3)充電時は所定の電圧・電流を守ること、(4)低温・高温環境で充電・放電する際は、電圧や電流を通常時より下げること――などを定めた。例えば現在主力となっている、正極材料にコバルト(Co)系素材を用いるセルの場合、正常な温度範囲を10~45℃とし、この環境下で充電可能な最大値を1セル当たり4.25V、0.7ItAとした。

 バッテリーパックに関しては、(1)2個のセルを縦に並べる際にトップカバー(先端の凸部)同士が向かい合わせにならないようにする、(2)万一過熱した場合を考慮し、セル内部の安全弁から出る電解液蒸気を安全にきょう体外部へ逃がす排出口を用意する、(3)1個のセルの過熱が他のセルに影響しないよう、セルとセルの間にすき間を設ける、(4)バッテリーパックのカバーには国際電気標準会議(IEC)が定める「V0」クラスの高い難燃性を持つ素材を用いる、(5)バッテリーパック内部の各セルの温度や電圧が均等になるよう、センサーなどで監視する、(6)セルが過充電・過放電状態になったときは利用を制限する、(7)電池が劣化した場合、容量が当初の50%以下で警告メッセージを出し、30%以下になったら使用中止を促すメッセージを出す――といった規定を設けている。

 電池の安全性を確かめるための試験としては、IECや日本工業規格(JIS)で既に標準化されているが、これに加えてセル、バッテリーパックそれぞれに追加試験の実施を求める。セルに対しては圧壊、外部短絡、外部過熱の3項目について、耐性を確かめる。バッテリーパックについては、自然落下、過充電、故障時の保護回路の動作、低温・高温時の保護回路の動作という4項目で、異状の有無を確認する。今回の発表時点では策定作業が完了していないが、満充電状態のセルに人為的に異物を混入して内部短絡を起こし、発火や破裂が起こらないかを確認する試験も検討している。

 JEITA ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会 委員長の山本正己氏は4月25日に開催した報道関係者向け説明会の席上、「今回のガイドラインに法的拘束力はないものの、関連メーカーに対し、手引書への準拠を強く求める」と語り、一般消費者の不安解消を図るため積極的に働きかける考えを示した。また経済産業省やIECに対してもガイドラインの策定を報告し、今回のガイドラインをJISやIECへ盛りこむよう求める。海外メーカーへの周知を図るため、ガイドラインの英語版も近日中にJEITAのWebサイトで公開する予定。

 一般消費者に対しては、メーカー各社がパソコンにプリインストールしている電源管理ソフトウエアなどで電池の状態を細かく把握できるようにする。また、落として変形したバッテリーパックや、永年使い続けて極端に劣化の進んだバッテリーパックなどの使用を控えるよう求めていく。