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米GartnerのDataquest部門担当Vice President兼Research DirectorのTom Eid氏
米GartnerのDataquest部門担当Vice President兼Research DirectorのTom Eid氏
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 「2007年は,Windows VistaやOffice 2007といった米Microsoftの大型製品に加えて,SOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応した第二世代の業務アプリケーションが次々と登場する。その一方で,企業のオープンソース・ソフトウエア(OSS)採用にも拍車がかかる。2007年は業務アプリケーション(エンタープライズ・アプリケーション)市場にとって,大きな転換点になるだろう」--。米GartnerのDataquest部門担当Vice President兼Research DirectorのTom Eid氏はこう主張する。

 Eid氏は4月22日から26日(米国時間)まで米国サンフランシスコで開催された「Gartner Symposium/ITxpo 2007」で,業務アプリケーション市場に関する予想を披露した。Eid氏によれば,1980年代と90年代,そして2000年代には,ある共通した傾向が見られるという。それは「いずれも最初の3~4年間が景気後退期で,次の3年が回復期,最後の3年間が安定成長期にあったこと」(Eid氏)であり,2000年代最後の3年間も,安定成長期になることが見込まれている点だ。

 しかし1990年代と2000年代には大きな違いもある。「1990年代は,供給サイドの考えで市場が動いていた。インターネット技術を取り込みましょう,2000年問題に備えましょうといった具合で,Gartnerにとっては楽な時期だった。もちろんユーザーにとっては楽ではない時代ではなかったわけだが,今は逆に,需用側が市場を動かしている」(Eid氏)。

OSSとSaaSが拡大

 これらの見方に立った上で,Eid氏は大局的な予測を示した。それは「2011年までに,業務アプリケーション分野における売り上げの200億ドル分以上が,ユーザー企業によるOSSに対する支出に置き換わる」という見方だ。OSSは無料で入手できるが,それを企業情報システムで使うために費用が発生しないというわけでもない。そういったOSSに対する支出が,2011年までに200億ドルにも及ぶというのが,Eid氏の予測だ。

 もう1つ予測がある。「2011年までに,業務アプリケーション分野における新規売り上げの20%以上が,SaaS(Software as a Service)モデルでもたらされる」というものだ。つまり,オープンソースの浸透とSaaSの普及,これが今後5年間の業務アプリケーション分野の基調になるというのである。

 市場自体は拡大を続ける。2006年で約1500億ドルである業務ソフトウエアの世界市場規模は,2011年までに約2400億ドルに拡大する。年平均の成長率は8.3%で,業務ソフトウエアを「アプリケーション」と「インフラストラクチャ」に分類すると,アプリケーションの成長率が年平均8.9%で,インフラストラクチャの同7.9%を上回る。

 ただし,業務ソフトウエアの成長率は地域によってかなり差が出る。最も好調なのは,中国を含むアジア地域の年平均11.7%で,北米地域は同7.1%,欧州は同6.7%の成長となる。一方,日本の成長率は年平均で5.1%にとどまる見通しだ。

 また,OSSの受容に関しても地域差が見られる。「現在,OSSを使用する企業の『ソフトウエア・ポートフォリオ(ソフトウエアの内訳)』を見ると,OSSが25%を占めるようになっている。これは世界全体の傾向だ」(Eid氏)と,「OSSを使っている企業内で見られる傾向」は世界共通だが,「OSSを使う企業数の傾向」は地域によって差があり,「OSSを使っている企業の全体に占める割合は,北米が16%,欧州が10%,アジア・太平洋地域が10%」という。OSSに関しては,「米国企業が販売するソフトウエア」を排除したい欧州諸国やアジア諸国で受容が進むようなイメージがあるが,実態はその逆だった。

検索やリアルタイム・コラボレーションに期待

 それでは,今後成長が期待できるアプリケーション分野は何だろうか。Eid氏は「アプリケーションにはそれぞれ,勃興期(Emerging),高成長期(High Growth),飽和期(Maturing)が見られる。ERPやSCM,CRM,Officeアプリケーションといった分野は,市場規模は大きいが飽和期が近づいている。これから期待できるのは,『企業内検索』『リアルタイム・コラボレーション』『ビジネス・インテリジェンス』『チームウエア』『エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント』などの分野だろう」との予測を示した。