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 Linuxコミュニティのうわさを追認する形で,米Dellは5月第1週,「消費者向けパソコンの一部モデルでUbuntu Linux搭載を間もなく開始する」と発表した。この発表は,Dellが顧客から得たフィードバックに「複数の消費者向け主力パソコンで,何種類かのLinuxを提供する」と回答してから,数カ月後になされた。

 Ubuntuは,デスクトップOS市場に食い込むチャンスがLinuxにまだあると信じるユーザーから,圧倒的な支持を得ている。そしてDellによると,顧客の80%がUbuntuを希望したという。Dellの発表には,「数週間後に米国内で,消費者向け一部モデルのオプションとしてマン島に本拠を置くCanonicalの最新版Linux『Ubuntu 7.04』を提供開始する」とある。「Ubuntu 7.04は消費者向けモデルの一部にしか提供しないが,今後も工場出荷時点でワークステーション『Precision』に導入する『Red Hat Linux』や,企業向け全モデルで行う米Novell製Linuxの認定など,様々なLinuxオプションの提供を続ける」(Dellの発表)

 Dellは,「Ubuntu搭載デスクトップ/ノート・パソコンを選択する米国の顧客は,UbuntuのディストリビュータであるCanonicalから有償サポートを受けられる」としている。このサポート・サービスの料金は不明だが,現在Canonicalが企業向けに設定しているパソコン1台当たりの金額は,就業時間帯だけ対応するサービスだと年間250ドル,24時間365日だと900ドルだ。消費者向けのサポート料金は,恐らくこれより安くなるだろう。ちなみに,DellからWindows Vistaプリインストール・パソコンを購入すると,1年間は無料でサポートを受けられる。サポートを1年延長するには約90ドルかかるが,Dellは様々な「PC-Care」サポート・パッケージも用意している。

 その価格にもかかわらず,LinuxがすぐデスクトップOS市場に大きな影響をあたえることはないだろう。業界とメディアにひいきされている米Appleの現状が,その証拠だ。「Mac OS X」ベースの「Macintosh」は,デスクトップ市場に食い込んだことなど一度もない。2007年第1四半期に30%も成長したが,Appleの世界パソコン市場におけるシェアはわずか2.49%だ。ただし,Apple製パソコンの価格が平均的なパソコンより高いのに対し,Ubuntuはローエンド・パソコンでも快適に使用できる。Ubuntu搭載パソコンを購入し,最終的に自分の好きなOSをインストールし直すにしても,単なる節約目的でUbuntuを選ぶユーザーは少数だが必ず存在する。

 もう1つ注目すべき事実がある。Dellは1999年にパソコンでLinuxを提供したが,需要が少なかったために販売を止めてしまった。これに対しDellは,「当時よりもLinuxの完成度が,再度Linuxを販売するレベルに向上した」とする。「Linuxは,消費者に利用してもらえるまで進化した」(Dellの広報担当者)。答えはそのうちに分かるだろう。