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写真1●Gaucheの開発者である川合史朗氏
写真1●Gaucheの開発者である川合史朗氏
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写真2●座談会の様子
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写真3●自分のノート・パソコンに川合氏のサインをもらって喜ぶ参加者
写真3●自分のノート・パソコンに川合氏のサインをもらって喜ぶ参加者
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写真4●川合氏や小飼氏を囲んでの記念写真
写真4●川合氏や小飼氏を囲んでの記念写真
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 Lisp系のプログラミング言語であるSchemeは,言語仕様の美しさから多くのファンを持つ。著名なハッカーであり書籍「ハッカーと画家」(Paul Graham著,オーム社発行)の翻訳でも知られる川合史朗氏(写真1)が作ったScheme処理系が「Gauche」である。2007年5月9日,Gaucheのイベントである「GaucheNight」が東京都新宿区のライブ・スペース「NAKED LOFT」で開催された。50枚のチケットが事前に完売し,当日もほぼ満席状態。米国ハワイ在住の川合氏も来日し,Gauche関連の開発者やGaucheユーザーの熱気で大いに盛り上がった。

 第1部は「Gaucheのパワーと楽しさを語れ!」と題した座談会が開催された(写真2,公開されている資料)。出演者はプログラミングの各分野の第一人者。「Common Lisp最強」(司会のえんどうやすゆき氏による)の黒田寿男氏(参考リンク),Gauche作者の川合氏,著名なPerlハッカーである小飼弾氏,書籍「On Lisp」(Paul Graham著,オーム社発行)の翻訳者である野田開氏,著名なHaskellハッカーである山下伸夫氏。Ruby作者であるまつもとゆきひろ氏もSkypeでリモート出演した(残念ながらSkypeの調子が悪く,まつもと氏は最初だけしか議論に参加できなかった)。

 野田氏は「On Lisp」の出版の経緯を紹介(参考記事)。そこからHaskellやRubyとの比較でCommon LispやSchemeのマクロに関する議論が盛り上がった。次いで黒田氏が,2007年4月に英国で開催された「International Lisp Conference 2007」について報告した。

 座談会のメインテーマである「Scheme五つの誤解」では,Common Lisp派の黒田氏がSchemeの問題点を指摘し,それに対して川合氏が答えるという展開になった。といっても,ぎすぎすした雰囲気ではなく,あくまで純粋な技術論。むしろ,黒田氏の「芸としてのツッコミ」を聴衆が楽しむといった趣だった。

 第2部はデモ大会「GaucheGong」。ライトニングトークス形式で,7人のGaucheハッカーが自慢の自作ソフトウエアのデモを競った。まず,久井亨氏が,3次元アニメーションのライブラリであるmephistoをデモした。小黒直樹氏は,VNCプロトコルを使ったシンプルなグラフィックス・ライブラリ「Gauche-rfb」を紹介。VNCクライアント上でライフゲームなどを表示するデモを行った。

 植山類氏は,自作したコンビネータ・パーザーのライブラリを使い,「今週金曜日の午後」といった日本語の文章から実際の日付データを生成するデモを披露。山田淳雄氏は,Gaucheスクリプトの起動を高速化する「speedygosh」というツールを紹介した。Fast CGIには少し及ばないものの,Gaucheで書かれたCGIスクリプトの高速化に有効だという。

 はやしけんたろう氏が作った「Gauche-hpdf」はPDFを生成するソフトウエア。伊東勝利氏は「Class-Partitioning-Class on Kahua」というハックを披露。備前達矢氏は,Wiki風の記法でWeb上にプレゼンテーションを記述できるKuhuaアプリケーション「Kahua-S5(仮)」を紹介した。

 イベントが終わった後も,会場では川合氏や小飼氏を囲んでの技術的な雑談が夜中まで続いた。中には,手持ちのノートパソコンに川合氏のサインをもらう参加者もいた(写真3)。川合氏が自身のノートパソコンを開いて「こんな新記法を考えてるんだけど,どう思う?」と取り囲んだ人に尋ねる場面もあるなど,終始アットホームな雰囲気のイベントだった(写真4)。