電通国際情報サービス(ISID)の2007年3月期連結決算は、売上高が対前年度比9.4%増の751億7100万円、営業利益が同36.5%増の33億6300万円、経常利益が同29.7%増の36億1900万円で増収増益となった。
顧客の業種別に見ると、業績をけん引したのは金融業の分野である。メガバンク向けの受託開発ビジネスが急拡大したことや地銀向け融資業務支援システム「RiskTaker」の好調を背景に、売上高を前期比26.9%増の211億8700万円に伸ばした。このほか製造業は同4.8%増の291億9800万円、サービス業は同2.8%増の174億1100万円、流通業は2.4%の73億7300万円と堅調に推移した。
ただし、同社が2008年3月期までの中期経営計画で中核に据えた「受託開発からパッケージ販売へのシフト」という経営戦略は道半ばの状況。例えば製造業分野では、主力のCADソフトの新規バージョンへの移行がうまく進まず、販売が伸び悩んだ。ISIDの水野紘一社長はその原因を「既存のCADソフトのユーザー企業に対して移行支援作業を実施したものの、一部企業での不具合対応に予想以上の工数がかかった。その分、販売活動が手薄になってしまった」と説明する。
こうしたことから2008年3月期業績予想は売上高797億9100万円、営業利益50億4400万円と、中期経営計画で掲げる「売上高800億円、営業利益53億円」にわずかに届かない見通し。ISIDは営業力の強化や、不採算案件の見直しを徹底することで業績を引き上げる。すでに全社的な案件管理システムの運用や、グループ全体の営業計画を立案・推進する専門部署の設置など手を打っている。このほか外注費の圧縮に向けて、2007年3月期から着手した中国現地法人経由でのオフショア開発を引き続き拡大していく方針である。
(訂正:サービス業と流通業の売上高が逆になっていましたので訂正します。正しくは本文のとおり、サービス業が174億1100万円、流通業は73億7300万円です)