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 給与をもらいながらシリコンバレーに渡り,技術と事業モデルを磨く。そして起業へ――。技術者に向けて,こんなインキュベーション事業が登場した。ナレッジ関連ソフトを開発するリアルコムが5月15日に発表した「Software Innovation Laboratory(SIL)」である。

 SILの特徴は,技術者に給与をはじめとした生活基盤を提供しつつ,米シリコンバレーにおける起業活動を支援すること。技術者は自身のアイデアをSILに売り込み,これが採用されると,技術者はまずリアルコム米国子会社の社員として雇用され,シリコンバレーに渡る。SILのメンバーや支援組織とともに技術と事業モデルを練り,1年以内に企業として立ち上げる。

 立ち上げた後は,半年をめどにシリコンバレーのベンチャーキャピタルや企業からの出資を募る。これにより,企業として継続的な活動ができる体制を整える。

 1年以内に企業を設立できるレベルに達しなかった場合は,SILの対象から外れる。ただし,リアルコムがそのまま社員として採用し続ける。つまり,リアルコムの雇用が,起業に至らなかった際のセーフティネットとなっている。「高い技術力を持ち,やる気がある技術者は日本国内に数多くいる。だが,生活のリスクがあるため足踏みしている人がほとんど。そうした人にこそ,ぜひSILに応募してほしい」とリアルコム社長の谷本 肇氏は語る。

 「SILでは,シリコンバレーで技術開発と事業開発に集中できる環境を提供する。シリコンバレーはさまざまな技術者やマーケティングの専門家,ベンチャーキャピタルが活動している。そうした中で世界を変える技術や事業が生まれてきた。その環境に身を投じ,肌で世界を感じることで,さまざまな可能性が開ける」(谷本氏)。谷本氏はリアルコム創業前の5年間,シリコンバレーで経営コンサルティング活動をしていた。「私自身,シリコンバレー体験の価値を知っているので,このような枠組みにした」(同)。

 SILの中核メンバーは,リアルコムCTO(最高技術責任者)の竹内克志氏,谷本氏,それからシリコンバレーのベンチャーキャピタルであるNetService Ventures Group(NSVG)創業者兼パートナーのリチャード・メルモン氏。技術者は本格的な起業に当たって,リアルコムが紹介する弁護士事務所,人材採用会社,マーケティング・コンサルタントなどの支援も受けられる。NSVGのメルモン氏は1974年にインテルに入社し電卓向けICの事業開発に携わった後,表計算ソフト「VisiCalc」や米アップルのパソコン「Apple II」などの製品マーケティングに従事。その後,大手ゲーム会社の米エレクトロニック・アーツを創業した。

 リアルコムがSILで狙う直接的なメリットは,SILで生まれた企業から得られるキャピタルゲインなど。リアルコムの谷本社長は「ただ,それ以上に,優秀な技術者を支援して日本をもっと盛り上げたい。SILで今後10年間で50人の『成功者』を生み出すのが目標」と語る。谷本社長は成功者の定義として,「社会に貢献する技術で事業に成功し,金銭的にも豊かになり,後に続く技術者のロールモデル(行動規範),あるいはエンジェル(支援者)となる人物」としている。