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図1 総務省が示した2.5GHz帯無線ブロードバンドの免許方針案(総務省が公表した資料から引用)
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 総務省は,2.5GHz帯を利用した広帯域移動無線アクセス(無線ブロードバンド)システムの免許方針案を策定し,5月15日これを公表した。同案では,移動通信用に2社に対して30MHzずつ,各地域の固定通信用に10MHzを割り当てるという方針が初めて示された。ただし,既存の第3世代携帯電話(3G)事業者は免許付与の対象外との方針も明らかになり,免許取得を目指していた3G事業者からの反発は必至の様相だ。

 2.5GHz帯の周波数は,隣接システム(移動衛星業務と放送衛星業務のシステム)のガード・バンドを除き2.545G~2.625GHzの80MHzを割り当てることができる。このうち2.545G~2.575GHzと2.595G~2.625GHzのそれぞれ30MHzずつを,全国展開の移動通信に割り当てる。一方の各地域の固定利用には,2.575G~2.595GHz帯のうち,移動通信用システムとのガード・バンドとなる計10MHzを除いた10MHzを割り当てる(図1)。

 免許方針案では,この移動通信用の30MHzずつを最大2社に割り当てることを決めた。ただし技術間競争や新規参入の促進を図るために,3G事業者とそのグループ企業は割り当ての対象外という条件を付けた。このため,KDDI,NTTドコモ,ソフトバンクモバイル,イー・モバイルは割り当て対象とはならない。ただし,出資が3分の1以下である場合には割り当てが許容されるため,既存事業者でも3分の1以下の出資により間接的な事業参加は可能となる。また,MVNO(仮想移動体通信事業者)の利用を促進するための計画を策定することも義務付けている。

 既存の3G事業者以外では,例えばウィルコムが次世代PHS,アッカ・ネットワークスがIEEE 802.16e(モバイルWiMAX)の事業展開を目指している。総務省の免許方針案を受けてウィルコムは,「新たな無線サービスの展開と市場の活性化を図るという方針に賛同している。引き続き次世代PHSの実現を目指したい」とコメント。アッカも「モバイルWiMAXの全国展開を前提としたビジネスプランをもって,全国枠に対し,その獲得を目指す」との声明を発表。いずれも,新規参入を促進する免許方針案には歓迎の意向だ。

予想外の“締め出し”に反発強める3G事業者

 これに対して,割り当ての対象外となった3G事業者からは早くも反発の声が出始めている。KDDIは,「当社の期待に反するものと受け止めている」とコメントし,方針案に対する具体的な意見をまとめてパブリック・コメントとして提出する構えだ。同社はWiMAXフォーラムのボード・メンバーとして活動してきた経緯がある。「モバイルWiMAX方式の実証実験などを行い,2.5GHz帯周波数の有効利用のための技術進展と国際標準活動による同方式の発展に貢献してきた」(KDDI)との思いから,突然の対象外方針に戸惑いを隠しきれないようだ。

 また,NTTドコモは「免許取得の方針自体は変わらない。免許方針案の内容を精査して,今後の方針を検討する」(広報部)と回答。ソフトバンクモバイルも「3分の1以下の出資による事業参加なども選択肢として,今後の戦略を検討する」(広報部)とコメントしている。

 一方,デジタルデバイド対策と地域の公共サービスへの活用を目的とした周波数帯である固定系地域バンドは,原則として市区町村単位に割り当てられる。こちらも移動通信と同様に3G事業者は割り当ての対象外だ。移動通信用バンドとの違いは,より遠くまで電波を飛ばせる高利得FWA(固定無線アクセス)システムを利用できること。高利得FWAを使わない場合は,移動通信用バンドと同様の移動端末を使った運用も可能だ。

 総務省は5月15日から6月15日までの間,パブリック・コメントを募集する。その後,電波管理審議会に諮問・答申され,正式な開設指針を公示。どの事業者に周波数を割り当てるかといった開設計画の認定は今秋になる見通しだ。

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