富士ソフトの2007年3月期連結決算は、売上高が対前期比5.5%減の1696億200万円。9期連続していた増収から一転、減収となった。営業利益が同22.4%減の93億7100万円、経常利益が同18.0%減の98億5200万円と減益も続いている。組み込みソフト開発など主力事業は好調を維持したものの、不振事業をカバーしきれなかった。
減収の要因となったのは、システム保守・運用などを手掛ける「アウトソーシング事業」と、物品販売を含む「ソリューションサービス事業」である。アウトソーシング事業の売上高は取引関係の見直しなどが響き、対前期比14.2%減の347億9100万円。ソリューションサービス事業は物販を抑制したことから、同50.2%減の146億1100万円と大幅に減少した。
主力のソフトウエア開発関連事業の売上高は、対前期比9.7%増の1200億4000万円。中でも組み込みソフトなどの制御系は、携帯電話を中心とした通信業向けビジネスが好調で、同9.9%増の636億2700万円と業績を伸ばした。また業務系も金融業や製造業向けビジネスが順調に推移し、同5.4%増の435億5900万円だった。
富士ソフトは受注計上の厳格化や選別受注に取り組んでおり、主力事業の利益率は上向きになっている。野澤宏会長兼社長は「徹底的なプロジェクト管理は当初社内にとまどいも見られたが、結果はトラブルプロジェクトがゼロになり、売上原価率を着実に改善するなど成果を挙げている」と説明する。具体的には2006年3月期の80.5%から2007年3月期の77.1%へ、3.4ポイント改善した。
連結子会社の業績はまだら模様だ。好調なのはサイバネットシステムやサイバーコムなど。例えばサイバネットシステムの売上高は対前期比9.2%増の189億9800万円、経常利益は同11.0%増の28億2700万円だった。一方、富士ソフトDISや東証コンピュータシステム(TCS)は売上高が大きく前年割れしただけでなく、それぞれ16億4400万円と4億5000万円の特別損失を計上。富士ソフトDISの経常利益は同60.6%減の5億8400万円、TCSは同95.3%減の7300万円と大幅な減益となった。
今期は制御系ソフトウエアビジネスの海外展開やアウトソーシング事業の立て直し、セキュリティや映像など新ソリューションの開拓などを進め、売上高1750億円、営業利益107億円、経常利益100億円と増収増益を予想している。