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 「ムーアの法則は経済原理から破綻する(The Economic Meltdown of Moore's Low)」。こんなタイトルの講演を、Interop Las Vegasの展示会に先立って開催されている専門技術会議「Data Center Summit」で聞いた。講演者はアップタイム・インスティテュートのケネス・ブリル氏である。

 同氏は、現在のコンピューティング能力の性能向上が24カ月で3倍に達しているのに対して、エネルギーの利用効率の向上ペースが24カ月で2倍にしか達していないと指摘する。同氏の冒頭の指摘は、両者の差がこのまま大きくなると、発熱量の問題から現在と同じ筐体やラックに収めることができなくなるというものだ。

 同氏の試算によると、「1U」と呼ぶラック単位の消費電力は2000年には8Wだったが、2006年には109Wと、約40倍に急増した。増加ペースは、指数関数的に増える傾向にあり、現在と同じペースで増え続けると2012年には1650Wに達することになる。ブリル氏は「さすがにそれはあり得ないだろう」としながらも、2012年の値を400W近くになると予想した。

 さらに同氏は、同僚の研究者の「2005年における米国のサーバー(SANやネットワーク機器を含まない)の消費電力量は、全産業の消費電力の1.2%を占める」という調査結果を報告した。同じ研究者によると、2000年には0.6%に過ぎなかったという。

 同氏は、こうした数字をはじめ各種の調査資料を引用しながら、データセンターの構築にとどまらず、企業活動においてITインフラの電力問題が極めて深刻なことを報告した。同氏は、「これまで以上にチップやストレージのエネルギー利用効率の向上が望まれる」として講演を締めくくった。