「Windows Vistaの登場は,当社にとってまさに追い風。そのおかげで,インストーラ開発ツールの需要がいっそう高まっているからだ」。こう語るのは,マクロヴィジョン・ジャパン・アン・アジアのDavid Rowley代表取締役(写真)。同社は,米Macrovisionが開発したWindows用インストーラ開発ツール『InstallShield』に関して,日本を含むアジア地域における技術サポートを主に担当する。
Rowley代表取締役によれば,2006年におけるMacrovision全体の売上高は,前年比で30%増加した。「それ以前も売り上げは伸びていたが,伸び率は10%程度。それが3倍になったのは,Vistaによる効果が大きい」(Rowley代表取締役)。
InstallShieldは,アプリケーションのインストール・パッケージを作成するためのツール。Windowsの世界では“定番”といえるツールの一つで,「ある調査によれば,パソコン・ユーザーの82%がInstallShieldを知っており,ソフトウエア開発ベンダーの94%が使っている」(同)という。
5月23日には,日本での販売元であるネットワールドを通じて,新版の「InstallShield 2008 日本語版」の出荷を開始した。新版ではVistaに完全対応したことに加えて,顧客からのフィードバックを基に,旧版のInstallShield バージョン12に対して約250の変更を加えた。「新版の投入で,Vista対応ソフトウエアを開発するベンダーでの採用がより加速されるだろう」(同)。
InstallShield 2008 日本語版では,Windows Server 2008やWindows Embedded CE 6.xなどへもいち早く対応。これらのOSで動くアプリケーションのインストーラも作成可能にした。加えて,WebサーバーのIIS(Internet Information Services)7.0とSSL証明書に対応したことで,デジタル証明書を要求するサーバー・アプリケーション用のインストーラを作成できるようにした。このほか,インストーラ作成時に,インストール画面の背景をテーマから選択できる機能なども付け加えた。
Rowley代表取締役は「Windows XPが登場したときと比べると,Vistaへの移行は緩やかに見える」と話す。それでも,「Vistaがプリインストールされたパソコンは増えており,確実にVistaへの移行は進んでいる。来年以降,本格的に普及するだろう」とみる。
InstallShield 2008の価格は,「Professional Edition Windows 日本語版」が32万1825円(税込),33カ国のランタイム言語をサポートし,マルチ言語対応のインストーラを作成できる上位モデル「Premier Edition Windows 日本語版」が64万3650円(同)。このほか,詳細は未定だが,廉価版の「同Express Edition」は07年末に出荷予定だ。