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 総務省主催の調査研究会「インターネットの中立性に関する懇談会」は6月20日,第7回会合において報告書案を公開した。同案の中で懇談会は,極端にトラフィック量の多いヘビー・ユーザーからインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)が追加課金を徴収することには「合理的な根拠がある」との見解を披露。併せて,ヘビー・ユーザーに対してISPが帯域制御を行うことも「社会的に許容される」という見解も示した。

 報告書案によると,国内のブロードバンド契約者のダウンロード・トラフィックは2006年11月時点で636.6Gビット/秒。現在のペースで増加すると,2008年ごろに1T(テラ:ギガの1000倍)ビット/秒を超える可能性があるという。トラフィックの50%以上は,WinnyなどのP2P(ピア・ツー・ピア)ベースのファイル交換ソフト。また,インターネット・ユーザーのうちの約1%が,バックボーン帯域の約60%以上を消費しているという。

 ヘビー・ユーザーからの追加課金の徴収は,ヘビー・ユーザーはライト・ユーザーに比べてより多くの設備を利用しているという「受益者負担」の考え方に基づく。ただし,ヘビー・ユーザー向けサービスとライト・ユーザー向けサービスを合理的に差異化できるかどうかには課題が残ると報告書案では指摘している。

 なお,コンテンツ事業者への追加課金については否定的な見解を示している。その根拠として,コンテンツ市場とISP市場の双方で十分な競争が実現していることを挙げている。

 帯域制限は既に一部のISPで実施されている。例えばドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は,10月1日から1日当たりの上りトラフィックが15Gバイト以上となるユーザーに対して利用停止も含めた利用制限を実施することを発表済みだ(DTIの発表資料)。今回の懇談会の報告書案は,こうしたISP個別の対策を追認する動きと言える。

 ただし,個々のトラフィク・パターンをチェックして特定のアプリケーションやサービスを制限することは,通信の秘密の確保に抵触する可能性があるため慎重な対策が必要になるとしている。また,規制対象のユーザーを特定する場合も,客観的な基準を示して恣意(しい)的にならないようにすべきと指摘する。

 総務省は,報告書案について近日中にパブリック・コメントを募集。その結果を踏まえて,9月に懇談会で最終報告書を作成する。総務省は,懇談会の最終報告を行政運営の参考にすることになる。

 インターネットの中立性に関する懇談会は,座長の林敏彦放送大学教授ら有識者で構成される調査研究会。2006年11月からこれまで計7回の会合を開催し,トラフィックの急増でインターネットが混雑する問題の解消に向けた指針などを検討していた。

■変更履歴
ドリーム・トレイン・インターネットが実施予定の利用規制について,「1日当たり15Gバイト以上・・・」としておりましたが,正しくは「1日当たりの上りトラフィックが15Gバイト以上・・・」です。本文は修正済みです。 [2007/06/21 08:15]

[ネットワークの中立性に関する懇談会のページ]
[報告書案]