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写真●左からイー・アクセス取締役会長でイー・モバイル代表取締役会長兼CEOである千本倖生氏,イー・モバイルのエリック・ガン代表取締役社長兼COO,ソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役員CTO
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 イー・アクセスとソフトバンクは6月21日,モバイルWiMAXの事業化に向けたフィージビリティ・スタディ(事前調査)を共同実施することで合意したと発表した。

 両社は互いに事業検討や実証実験の結果を持ち寄り,モバイルWiMAXの事業性や技術課題などについて共同で検討を進める。今後,両社の取り組みに参加する企業を募り,モバイルWiMAXの事業会社を数社共同で設立。2.5GHz帯の免許申請に動く見通しだ。

 イー・アクセス取締役会長でイー・モバイル代表取締役会長兼CEOである千本倖生氏は,「オープンな水平分業が実現できるか,総務省が割り当て事業者を決める今秋に向けて取り組みを進める」と意欲を語った。ソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役員CTOは,「総務省の免許方針案では,我々だけでは事業化できない。全国の通信事業者と話し合って,3社,4社,5社と多くの事業者と組めるようにしていきたい」とした。

 総務省が5月に公表した2.5GHz帯の免許方針案では,第3世代携帯電話(3G)事業者とそのグループ会社は割り当ての対象外だ。ただし,3G事業者とそのグループ企業でも,3分の1未満の出資による事業参加は可能とされている(関連記事)。イー・アクセスとソフトバンクによる共同検討の実施は,3G事業者同士が連合体を形成し,さらにほかの出資者を募ることで,互いの出資比率を3分の1以下に抑えるという狙いもある(関連記事)。

 事業化することになった場合は,インフラ運営専業の「ゼロ種事業者」を設立して,その事業者で2.5GHz帯の割り当てを狙う見込みだ。周波数割り当てを受けた事業者が構築したインフラを,イー・モバイルやソフトバンクモバイルなどがMVNO(仮想移動体通信事業者)の形で借り受けることを想定しているという。「NTTやKDDI,アッカ・ネットワークスの参加もウェルカムだ。モバイルWiMAXのインフラ構築には巨大な資金が必要になるので,インフラを事業者間で共通化していきたい」(ソフトバンクモバイルの宮川専務)とする。

 フィージビリティ・スタディでは,「そもそもビジネスとして成り立つかどうかから検討する」(イー・モバイルのエリック・ガン代表取締役社長兼COO)。ビジネスとして成立しないと判断した場合は,「事業化しないという決定もありうる」(同)という。ソフトバンクモバイルの宮川専務も「2.5GHz帯は周波数が高く,使いやすい周波数ではない。事業モデルについても,どうやって採算を取るのかきちんと検討しないといけない」と慎重な姿勢を示した。

 また,ソフトバンクモバイルの宮川専務は「今までの歴史でこの2社が並んだ会見は一度もなかった」と感慨深げに語った。というのも,これまでの両社の関係は,決して良好とは言えないものだったからだ。ADSLや3G携帯電話ではライバル関係にあり,ADSLの干渉問題を巡ってはソフトバンクがイー・アクセスCTOに3億円の賠償と謝罪を求めて訴訟を起こしたこともあった(関連記事)。それが一転,両社とも苦しい立場に立たされているモバイルWiMAXの事業化では,過去の確執を乗り越えて手を組んだ格好である。