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写真1●モバイルビジネス研究会の第8回会合
写真1●モバイルビジネス研究会の第8回会合
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 2008年から携帯電話端末の販売奨励金、いわゆる“1円端末”を見直し,2010年にSIMロックを解除して同じ端末をほかの事業者でも使えるようにする--。6月26日,これからの携帯電話関連のビジネス・モデルを議論する総務省の「モバイルビジネス研究会」は第8回会合を開催して報告書案をまとめた(写真1)。

 冒頭で菅義偉総務大臣(写真2)があいさつ。「販売奨励金やSIMロックといった現行の販売モデルの見直し,MVNO(仮想移動体通信事業者)の新規参入促進などの施策は,ICT産業の発展や国際競争力の強化に向けて避けて通れないこと。ユーザーの利便性の向上を図りつつ,従来の枠組みを脱却して積極果敢に進めていくことが必要」と改めて強い決意を示した。

端末料金と通信料金を分離し,契約期間を導入

写真2●冒頭で挨拶する菅義偉総務大臣
写真2●冒頭で挨拶する菅義偉総務大臣
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 最大の注目である販売奨励金の見直し。報告書案では「2008年度から新モデルの導入を段階的に進め,その有効性を定期的に検証しながら2010年をメドに総合的に評価し,本格導入に向けた結論を得る」とした。

 新モデルとは,(1)端末価格と通信料金を分離した料金プラン(分離プラン)の導入,(2)利用期間の契約の設定--の二つを採り入れたモデルを指す。つまり,1円端末など,格安端末を見直すことになる。

 (1)の分離プランは,ユーザーの支払う料金が「何に対する負担なのか」を明確化するのが狙い。端末価格と通信料金をそれぞれ請求書に明記するなど,負担額の内訳がユーザーに明確に分かるようにする。

 報告書案では「分離プランはあくまで各事業者の自主的な判断で導入する必要がある」という位置付けに過ぎない。ただ,「電気通信事業法第26条にある『提供条件の説明』で各社は『説明責任』がある」「全社が統一的に見直さなければユーザーの混乱を招く恐れある」といった理由から,総務省は行政指導などにより全社に対して一斉に導入を進めるとしている。

 (2)の利用期間の契約は,ユーザー間の不公平感を緩和するための措置。契約期間中に端末価格を回収できる料金プランにすることで,「同じ端末の利用期間にかかわらず料金が同じ」といった不公平感がなくなることを想定している。

 こうした新モデルは従来の販売方式と大きく異なるため,ユーザーだけでなく,ベンダーや販売代理店などへの影響を見極める必要がある。このため,各社は「原則として2008年度をメドに段階的に実施し,市場への影響を見極めながら適用範囲を順次拡大するなどの措置を講じていくことが望ましい」とした。並行して新モデルの有効性を定期的に検証し,遅くとも2010年をメドに総合的に評価し,本格導入に向けた結論を出す方針である。

 こうした方針は現行プランの即座の廃止を要求しているわけではない。「あくまでコスト構造の透明性の向上を図ることが目的。高い端末価格と低廉な通信料金の組み合わせを目指したり,販売奨励金の縮小や廃止を直接的に求めたりするものではない」(総務省)としている。

 ただ,2010年時点で「新モデルの全面導入」と結論が出れば,各事業者は大幅な変更を強いられることになる。ソフトバンクモバイルのように一部事業者が提供している割賦販売(購入端末に応じて通信料金の一部を割り引くことにより,端末購入価格の一部を補てんする仕組み)も例外ではなく,見直しが必要になる。

SIMロックの解除は2010年に結論へ

 SIMロックについては「原則解除が望ましいが,動向を注視し,2010年の時点で第3.9世代携帯電話(3.9G)や第4世代携帯電話(4G)を中心としてSIMロック解除を法制的に担保することについて最終的な結論を得る」とした。

 前述した新モデルで契約期間を設け,期間内に販売奨励金に相当する額を回収できれば,SIMロックをかける意味は失われる。ただ,現状はSIMロックを解除しても利用できる機能が限られるほか,W-CDMAとCDMA2000が混在しておりほかの事業者では使えない場合がある。SIMロックの解除は「ユーザー利益が限定されるとともに,むしろ事業者間の競争をゆがめる可能性がある」としたものの,「利用機能が限定されること」イコール「今後もSIMロックを継続することが望ましいとする根拠にはならない」とした。

販売奨励金の会計上の扱いも変更

 販売奨励金の見直しに伴い,電気通信事業会計制度にも手を入れる。販売奨励金には主に,端末の販売を促進するための「端末販売奨励金」と,サービス契約の締結,維持を目的とした「通信サービス販売奨励金」の2種類がある。

 これらの販売奨励金は電気通信事業営業損益の営業費として会計処理しているが,「端末販売奨励金は附帯事業収支の費用に形状するのが望ましい」とした。これは接続料原価などの適正性を確保するのが狙い。通信サービス販売奨励金は「通信サービスの原価として営業経費の一部に含まれることは問題ない。しかし,端末販売奨励金を接続料や卸電気通信役務の原価に算入することは,端末販売コストの一部を競争事業者に負担させることになる」という考えからである。

 端末販売奨励金が電気通信役務の原価から除外された場合は,接続料や卸電気通信役務の原価が従来に比べて安くなる。MVNOの事業展開が容易になり,新規参入が促進される。さらに「接続料水準の低廉化で固定初携帯着の通話料金が引き下げられることも期待できる」としている。

 販売奨励金の会計処理の変更は,2007年度中に電気通信事業会計規則を改正し,2008年度から施行することを予定している。

 このほか,報告書案にはMVNOの新規参入促進に向けた検討課題やプラットフォーム機能の連携強化などが盛り込まれている。このように取り組むべき施策が多岐にわたるため,全体のロードマップを「モバイルビジネス活性化プラン」としてとりまとめ,各施策の進ちょく評価などを公表していく方針だ。

 進ちょく状況のモニタリングや評価は,有識者で構成する「モバイルビジネス活性化プラン評価委員会」(仮称)が実施し,定期的(年1回)にプログレス・レポートを公表するとしている。さらに国際競争力強化に向けた取り組みとして,菅大臣が議長を務める「ICT国際競争力会議」とも連携を図っていく。

 研究会では,6月28日から7月30日まで報告書案に対するパブリック・コメントを募集し,9月に最終報告書を出す予定である。

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