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米カリフォルニア州パロアルトのアップルストア店頭
米カリフォルニア州パロアルトのアップルストア店頭
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 iPhoneの発売を今週金曜日に控え、アメリカでは新聞やニュースが連日iPhoneづくめになっている。2007年6月27日には4つの主要新聞、雑誌が製品レビューを一斉に掲載し、それがおおむね好意的だったためiPhoneの前評判を一層にあおっている様子だ。

 「game-changing(ゲームのルールを変える)」。これがiPhoneによく使われる表現である。携帯電話の定義を変え、業界を変え、人々がモバイルに対して持つ認識をすっかり変えてしまう、というわけだ。アップル自身もこの言葉をよく用いるが、果たして実際にはどうなのか。

 単純に機能上の組み合わせで見ると、音声、データ、音楽/ビデオ、カメラ、インターネットと、現在市場に出ているPDAタイプの機種(例えば、ノキアN95、サムスン・ブラックジャック、ブラックベリー8300、パーム・トレオ750)と変わりはない。

 アップル自身、こうした他機種との比較表をサイトに掲載しているが、そこで強調しているのは、大きなスクリーン・サイズ(3.5インチ)とバッテリーの持続時間(音声で8時間、インターネットのブラウジングで6時間、ビデオで7時間、音楽で24時間)、そしてWi-Fiネットワークへの自動切り替えである。バッテリー時間はかなり長く、通話やデータ送受信時だけでなく、マルチメディア機器、あるいはモバイル・コンピューターとしてじっくり楽しむデバイスという性格づけがされているのがわかる。アップルはスクリーンをプラスチック製からガラス製に変更したが、これが驚くほど鮮明な画像を見せるという。

 反対に、早くも欠点が指摘されているのはキーボードだ。iPhoneには、物理的な操作ボタンがひとつしかない。大きなスクリーンを確保するために「ホームボタン」だけを残して、通常のPDAにある各機能間の切り替えボタンやキーボードは、すべてスクリーン上のアイコンやバーチャル・キーボードとした。

 そのバーチャル・キーボードの反応が鈍く、これまで両手でPDAをつかみ親指を使ってキーボードを押していたユーザーには使いにくいのではないかというのだ。アップル側は即座にキーボードのビデオをサイトに掲載し、リアルタイムのエラー訂正機能がある上、片手入力にはすぐ慣れるはずと訴えている。だが、キーボードのヘビーユーザーが多いビジネス界の食いつきは悪いかもしれない。電話機能を呼び出すにも、何度もタップ(叩く)を繰り返す必要がある。

 したがって、iPhoneはiPodファンに共通した若者や熱狂的なアップルマニアには受けがいいだけではないかという予測もあるが、そこを補って余りあるのが、ユニークなデザインと操作性だろう。

 薄く美しいハードウエアのデザインはもちろんのこと、アップルは、iPodで先駆けた指を使ったユーザー・インターフェイスをここで画期的に前進させているようだ。スタイラスペンを使わず、指でスクロールしたり、タップしたり、あるいは人差し指と親指で画像を拡大したりする。こうした直観的なタッチスクリーン上の操作性に加えて、操作ごとに画面に表示される選択肢のシナリオづくりが優れており、上述した4紙/誌のレビュアーすべてに「ファン(楽しい)」という評価を言わしめているのだ。

 この使い心地に対する非常に細やかな配慮は、Google Mapsと提携して近所にある店を検索したり、音楽再生中に電話がかかってくると呼び出し音を優先させた上、音楽を一時停止にするといった処置にも現れている。このあたりは、従来のPDAでは考えられなかったフィーチャーだろう。

 独占提携しているキャリアのAT&Tネットワークの弱さや、メモリーカードのスロットがないこと、そして価格が高いこと(4GBで499ドル、8GBで599ドル)など消費者を足踏みさせる要素はまだまだ残る。しかし、アップル・デバイス特有の「革新性」と「チャーミング」さが受け入れられれば、iPhoneがこれからの「モバイル」のありかたを変えることは間違いない。