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 米Microsoftから出されるつじつまの合わない将来見通しは,矛盾がひどく,不愉快と言えるほどだ。また,新たなWindows部門のKremlin氏がとる秘密主義は,MicrosoftのCEOに「当社が最新版Windowsのあまりの成功に手を取られ,まだWindows Vista SP1や将来版Windowsの計画をきちんと検討していない」と信じ込ませた。ところがその一方,MicrosoftのCOOであるKevin Turner氏は7月第2週に公の場で,Windows VistaとMicrosoft Office 2007の大規模リリースに続くOSおよびオフィス・プロダクティビティ・スイートのメジャー・リリースを語った。

 さて,Microsoftは今後どうするのだろう。技術の行方を見守り,Microsoft製システムのユーザーを擁護する立場の人間として,筆者には,明らかにこれらの情報と個人的かつ専門家的な利害関係がある。筆者のような人間は,Microsoftの悠長な態度をほとんど考慮しないが,それで活動に差し支えはない。しかしMicrosoftの企業顧客は,予算策定と計画立案を行う必要があるため,Microsoftが今後数年のあいだにどんな製品を出荷するかという詳細情報を必要としている。突き詰めると,Microsoft顧客のうちこのグループが最も金払いがよい。Microsoftにとって重要なのはこのグループなのだ。

 そして,こうした顧客がMicrosoftの沈黙によってどれほど冷遇されているかを調べるには手間がかかる。現在,ブロガーやオンラインで活動する技術マニアが情報を迅速に公表する新たな時代が訪れた。この状況で透明性を高めている企業からみると,Microsoftはあらゆる事業のなかで最も大切なWindowsのアップデート戦略について,きちんと伝える努力を十分していないように思える。

 この問題はどれほど重症なのか。筆者は2006年に,MicrosoftからWindows Vista SP1の計画に関する記録を簡単に示され,次期サーバーOS「Windows Server 2008」と同時にリリースすると伝えられた。それ以後,MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は報道関係者から受けたSP1に関する質問で2回逃げ,「SP1のリリースについてはまだ検討すらしておらず,どのような機能を入れるか確定的な計画はない」と公の場で述べている。Ballmer氏によると「Windows Vistaがとても優れているので,SP1は不要かもしれない」というのだ。

 もちろん今は,Windows Vista SP1のリリースが予定されており,米Symantecや米McAfeeなどのライバルをなだめる目的で主にセキュリティ面の仕様が変わることと,米Googleから出された独占禁止法(独禁法)絡みの苦情を抑えることを主目的とするインスタント・サーチ機能の仕様変更があるとわかっている。バグとセキュリティ面で大量の修正が実施されると予想できるが,それを除くとWindows Vista SP1の情報はほとんど持っていない(関連記事:Microsoft,Googleの申し立てに応じて「Windows Vista SP1」のリリースを前倒しへ)。さらに,現在「Windows Seven」という開発コード名で呼ばれている次期クライアント向けWindowsにおいては,概要すら見えない(関連記事:「Windows Vienna(またはWindows 7)」のFAQ)。先ごろMicrosoftは,ベータ・テスターに内容を確認してもらおうと対応機能リストをリリースしたが,引っ込めてしまった。この動きは,Microsoft内の誰かが透明性の重要度に関するメモを受け取っておらず,「オープンなコミュニケーションなど時代遅れだ」と考えているかのようにみえる。

 確かに,将来版Windowsのリリースに向けたプロモーション活動と,現行版Windowsの販売低下という現象のあいだには,わずかながら関係がある。もしかしたら,Windows VistaはMicrosoftが計画したほど売れておらず,実現可能な売上本数を確保するため将来版Windowsについて口をつぐんでいるのかもしれない。それとも,5年にも及んだWindows Vistaの開発で用心深くなり,最終的にリリースできなかった約束の機能で落胆しているのだろうか。筆者は次のように理解している。「Windows Vistaは今後リリースされる一連のWindowsで基盤となることから,将来MicrosoftがWindows Vistaベースに開発したり,改良製品を作ったりすると知っても,誰一人驚かない」。

 技術マニアはMicrosoftの将来版Windowsリリース計画を知ることに間違いなく熱心だが,Microsoftは本当にリリース情報を必要とする顧客だけを相手にする。このような秘密主義は,家電品の分野ならうまくいくだろう。米Appleなどの企業は,製品リリース前に沈黙する手法を芸術の域にまで高めた。ところがMicrosoftの動きの鈍い企業顧客は,将来の見通しを必要としている。そして筆者が最近調べたときには,この種の顧客がMicrosoftの売り上げを伸ばしていた。おそらくMicrosoftは米Dellの戦略を参考にすれば,自社の顧客に対するサービスの改善方法を学べるだろう。われわれは,ほんの少しの明快さを求めているだけなのだ。