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新型液晶ディスプレイの試作機。薄さと映像の鮮明さ、消費電力の低さを特徴とする
新型液晶ディスプレイの試作機。薄さと映像の鮮明さ、消費電力の低さを特徴とする
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52型と大型ながら厚さは2.9cm、最薄部は2cmしかない。現行製品の3分の1(最薄部4分の1)
52型と大型ながら厚さは2.9cm、最薄部は2cmしかない。現行製品の3分の1(最薄部4分の1)
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壁の補強工事をしなくても壁掛けできるケースが増えるとする
壁の補強工事をしなくても壁掛けできるケースが増えるとする
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普段はテレビを壁の中にしまい、リモコン操作でせり出すようにした設置例
普段はテレビを壁の中にしまい、リモコン操作でせり出すようにした設置例
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床の間への設置例。「ベゼルが細く目立たないので、空間上に映像が浮いているように見える」(シャープの大河原氏)
床の間への設置例。「ベゼルが細く目立たないので、空間上に映像が浮いているように見える」(シャープの大河原氏)
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シャープの片山社長。「現行の液晶テレビより断トツで薄く軽く、エネルギー効率も良い」と強調する
シャープの片山社長。「現行の液晶テレビより断トツで薄く軽く、エネルギー効率も良い」と強調する
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 シャープは2007年8月22日、現行の液晶テレビより大幅に薄型軽量の液晶テレビを試作したことを発表、報道関係者向けに試作機を披露した。52型で厚さ29mm(最薄部20mm)とし、壁掛けテレビなどの用途に使いやすくしている。具体的な商品化のメドは立っていないが、大阪府堺市に建設予定の新液晶工場が操業開始する「2010年3月には間に合わせたい」(シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏)としている。

 シャープの52型の現行製品で最も薄い「AQUOS LC-52GX3W/4W」は本体部の厚さが92mm(最薄部81mm)であり、今回の試作機は約3分の1(最薄部約4分の1)にまで大幅に薄型化した。年間消費電力も、現行製品の273kWhから今回の試作機では140kWhと、ほぼ半分に減らしている。重さは現行製品の30.5kgに対し、今回の試作機は25kgに軽量化した。

 画質面でも性能向上を図っている。暗所コントラスト比は10万対1で、52型の同社現行製品で最も高い「AQUOS LC-52RX1W」の3000対1より大幅に向上している。200ルクスの明るい室内で測定した明所コントラスト比でも、同社現行製品で最高の1300対1よりも高い3000対1を確保しており、明るい部屋でテレビを見る際にも明暗のメリハリの効いた鮮明な映像を表示できる。色再現性はNTSC比150%で、ブラウン管テレビ(同72%)、現行の液晶テレビ(同90%)より表示可能な色の範囲が大幅に広くなっている。輝度は500cd/m2、動画応答時間(MPRT)は4ms。視野角については「斜め45度から見た場合でも5000対1と高いコントラスト比を確保できる」(シャープ 取締役 ディスプレイ技術本部長の水嶋繁光氏)とする。

床の間やせり出しなど、多様な設置を可能に

 会場では、今回の試作機の応用例として複数の設置方法によるデモを実施した。スタンダードな壁掛けテレビの場合、「現行の液晶テレビは大半のケースで補強工事が必要になるが、薄型軽量化することで補強工事なしで設置できるケースが増えると考えている」(シャープ 取締役 オンリーワン商品企画推進本部長の大河原卓次氏)。

 このほか、壁の中に液晶テレビを埋め込んで、必要に応じてリモコン操作でせり出すような可動型テレビ、和室の床の間や屏風などにテレビを組み込んだ設置例などを披露した。

 会場に展示した複数台の試作機のうち1台では、ミリ波帯の無線を用いて動画を伝送するデモを実施した。きょう体下部にミリ波の受信部を実装しており、床や壁など離れたところにある送信部から電波で動画を伝送する。「電源ケーブルをなくすことはできないが、映像ケーブルを省略できれば、従来より幅広い場所にテレビを設置可能になる」(大河原氏)と設計思想をアピール。

片山社長「液晶はSEDや有機ELに負けない」

 片山氏は開発発表の記者会見において、SEDや有機ELなどの次世代ディスプレイ技術を引き合いに出しながら液晶ディスプレイの優位性を強調した。「SEDや有機ELといった自発光型デバイスが液晶に置き換わるとの見方がある。初期の液晶テレビは当時のブラウン管テレビより問題があったが、現在の液晶は色表現力、コントラストなどの性能において改善が図られている。液晶は自発光型でないが、だからこそ各部門で研究開発が進められ飛躍的な進化を遂げた。今回紹介した試作機は、近未来の液晶テレビの一部。液晶は今後も無限の可能性を秘めており、一層の技術革新を進めていく」と熱弁を振るった。

 これらの性能向上を実現した要素技術については、「バックライト、偏光板、カラーフィルターなど、さまざまな部材の技術改良を積み重ねた結果」(水嶋氏)としたが、詳細は明らかにしていない。また、量産化に向けた今後の取り組みについては、「今回の試作機では新しい構造や材料を採用しており、これらを量産できる体制を整えることが必要」とした。