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ウルシステムズの漆原茂社長
ウルシステムズの漆原茂社長
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 「われわれシステム・インテグレーション(SI)を手がけるベンダーは,要求開発や業務分析,プロジェクト管理などに注力してきた。しかし,結局この30年間,システム開発のスタイルの大枠は変わっておらず,とにかく人を集めるという労働集約型のビジネスになっている。もうこのような状況から脱却すべきだ」---。

 9月7日,ソフト開発をテーマにしたイベント「X-over Development Conference 2007」で,ウルシステムズの漆原茂社長はIT業界の現状をこう説明した(写真)。

 現在のSI事業は,案件が大きくなればなるほど,より多くの人員を確保する必要があるという。「案件が終わっても,SI事業者には何も資産が残らない。だからビジネスを拡大しようとすると,とにかく人数を集めなければならなくなる。それが立ち行かなくなると,パッケージ製品の転売や,下請け会社への丸投げを始め,利益率が下がっていく」と,漆原社長は指摘する。しかも,「ユーザー企業の要望を取り入れようとすればするほど仕様が膨らみ,人が必要になる」。

 単にパッケージ製品を使うことでは,この問題は解決しない。パッケージ製品のほとんどはブラックボックスに近く,しかも高価なものが少なくないためだ。カスタマイズに限界がある上に,開発コストの大部分をパッケージ製品のライセンスにとられてしまう。

 そこで漆原社長が提案するのが,オープンソース・ソフトウエア(OSS)を活用した,サービス型のSIモデルである。「OSSを集めて使えば,初期段階から動くソフトウエアを提示し,それを見ながら必要に応じて機能を改良・追加していける。このようなサービス型のモデルであれば,ユーザー企業との関係は長く続くし,極端に多くの人員は必要ない」。

 しかも開発したソフトウエアは,SI事業者の資産として手元に残る。漆原社長が資産として注目するのは,ミドルウエアのOSSではなく,業務アプリケーションのOSSであるという。

 「調べると分かるが,ERPパッケージ,CRMソフト,グループウエアなど,本当にいいソフトがたくさんある。数年前ならパッケージを使って数億円かけて構築したECシステムを,これらのOSSに置き換えるだけで数千万円で構築できる。さらに,OSSを活用した新しいSIモデルに移行すれば,数百万円で構築できる可能性がある」(漆原社長)。

 このSIモデルでビジネスを成功させるには,「的確なOSSを見つけ出してユーザー企業のニーズとのギャップを最小限にすることや,オープンソースのコミュニティとの関係を構築すること,GPLv3などのライセンスに留意することなど,注意点は少なくない」(漆原氏)。

 だがその一方で,安く高品質なものを作るという点で,このSIモデルは日本企業が最も得意とするところだという。「ユーザー企業のニーズにきめ細かく応えてきた日本のSI事業者の経験が生きるはずだ」(漆原氏)。