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写真●ITコアで代表取締役社長を務める山田敏博氏
写真●ITコアで代表取締役社長を務める山田敏博氏
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 「IT資源を仮想化していない企業は,運用管理業務の労働がキツいので,優秀な技術者を集めることができなくなる」---。こう警告するのは,社内利用および社外向けサービスの両面でサーバー仮想化ソフトを3年以上使ってきたベンダー,ITコア代表取締役社長の山田敏博氏である(写真)。

 仮想化は,資源の統合による運用管理コストの削減を主な目的とする。こうした仮想化の意義は広く知られており,コンセンサスが得られている。一方で,仮想化技術を導入することに対する技術的な不安は払拭しきれていないのが現状だ。だが,山田氏は「今では仮想化に対する不安はかなり減っている」と分析する。「仮想化をやることによる不安(トラブル)と,やらないことによる不安(コストや将来性)と比べると,仮想化は現在,ターニング・ポイントに来ている」(山田氏)。

 仮想化に取り組む場合の,最大のポイントは「技術者の確保」(山田氏)である。仮想化システムの構成を設計できるか,障害時に対処できるかという,これまでにない難しい問題があるからだ。山田氏は,当たり前のことだがと前置きをした上で,「仮想化システムのベンダーの技術者と良好な関係を構築することが大切」と説く。ITコアでは社内技術者を育成するために,技術者教育/検証用のサーバー環境の確保やジョブ・ローテーションなどにも取り組んできた。

 仮想化が分かる技術者を確保することで,仮想環境のパフォーマンス管理と障害対策が可能になるという。仮想化システムは,サーバー,I/O,ストレージなどのどこにボトルネックが発生するのか,どのくらいの負荷までなら耐えられるのかが分かりにくい。仮想環境でサーバー機のキャパシティ・プランニングは容易になるが,一方で仮想環境そのもののインフラ構築にはノウハウが必要というわけだ。ITコアでは,研究グループと実運用グループの2グループに分けで,仮想システムの性能データを収集してきたという。

 仮想化のための製品も揃いつつある。サーバー・ソフトでは,2007年9月現在「全面的に導入するのであれば,安定性も性能も機能も優れたVMware ESX Server 3が良い」(山田氏)という。ベンダーに囲い込まれて他のベンダーに移れなくなるのではないかという不安材料も,現在の仮想化ソフトでは心配には及ばないと見ている。これは山田氏が,仮想化ソフト間でアプライアンス・イメージを相互変換できるようになると推測しているためである。

 ストレージとの接続方法は「I/O負荷が高い場面はFC(FibreChannel)が無難だが,接続性という意味ではiSCSIでも問題なく動作している」(山田氏)。仮想サーバーのイメージを異なるサーバーのESX Server間で移動させるVMotionは便利であり,その前提となる共有ディスクの採用も十分に価値がある。ただし,同社の運用経験から得られた教訓として,「共有ディスクの採用はメンテナンス負荷を考慮に入れる必要がある」という。

仮想化の導入時にはいくつものトラブルを克服

 ITコアの本業はサーバー・ホスティング事業者であり,VMware ESX Serverによる仮想サーバーをレンタルするサービス「GrowServer」を提供している。旧社名はテイルバック。2006年4月に親会社のアイ・エム・ジェイの名前を冠したIMJネットワークに社名変更し,2007年8月にはIMJから独立する形でITコアに変更した。

 山田氏によると,ITコアの3年間に及ぶ仮想化実践の軌跡は,以下の通りだ。(1)VMware ESX Serverを導入して使い始めた2004年4月~2005年3月の第1世代は「安定稼働していたものの,CPUとディスクの性能が悪かった」(山田氏)。(2)共有ディスクを導入してVMotionの運用を始めた2005年4月~2005年9月の第2世代は,「共有ディスクのコントローラの故障が多く,メンテナンスに苦労してしまった」(山田氏)。

 (3)米DataCore Softwareが開発したディスク共有化ソフト「SANmelody」を導入してI/Oを仮想化した2005年10月~2006年3月の第3世代は,ディスクの仮想化による無停止運用を実現できた。だが,ディスク・コントローラに性能上のボトルネックが発生し,仮想システムに障害が発生した。

 SANmelodyは,論理的な仮想ディスクとしてアクセス可能にするミドルウエアである。「当初は,サーバー機とSANmelody機との接続にボトルネックが発生すると思っていたが,実際にはディスク・コントローラに性能の限界が来た」(山田氏)。こうした問題を解決するため,2006年4月には共有ディスクを高性能化したという。