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KDDIの伊藤泰彦・代表取締役執行役員副社長
KDDIの伊藤泰彦・代表取締役執行役員副社長
(撮影:吉田明彦)

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 「ユビキタス時代においてP2Pは必然的な流れ。今は悪いイメージもあるが,P2Pを上手に利用することは非常に重要なことだ。P2Pをいかにうまく取り込むかがNGNの命題である」---。KDDI代表取締役執行役員副社長の伊藤泰彦氏は10月4日,幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2007」で「融合の時代に向けて」と題する基調講演を行った。同社が推し進める「FMBC」の概要やNGN(次世代ネットワーク)における課題などを紹介した。

 伊藤副社長はまず,携帯電話のエージェント化が進んできている現状を指摘した。「営業担当者は,みんな携帯電話を持ち歩いていて,何か調べ物をするときでも携帯の検索エンジンを使う。自分の分身となってあちこちで作業をし,また戻ってくるというエージェント機能を携帯電話に求め始めている」(伊藤副社長)。このように携帯電話に対する依存度が高まってくると,必然的にネットワークの信頼性,利便性,安全性が求められてくる。「そこで現在起こっているのが,通信事業者による通信インフラ再構築,NGNの構築だ」(同)。

 KDDIもNGN構想として「ウルトラ3G」を推進しており,固定ネットワークとモバイル・ネットワークをすべてIP化して統合していく計画である。そして,このNGNで実現するサービス概念を,KDDIはFMBCと呼んでいる。FMBCとは,一般的に言われているFMC(Fixed Mobile Convergence)に,放送(Broadcast)を加えたものである。

KDDIの伊藤泰彦・代表取締役執行役員副社長
(撮影:吉田明彦)
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 FMBCを実現するNGNにおいて,重要な視点の一つとして伊藤副社長は,P2P(peer to peer)とオーバーレイ・ネットワークを挙げた。「これらをうまくNGNの上に取り込んでいくのかがNGNのキーとなると考えている」。

 P2Pはファイル交換などに使われている技術で,中心となるサーバーを持たずにクライアント同士で通信を行うもの。一方,オーバーレイ・ネットワークとは物理ネットワーク上にクローズドな仮想的なネットワークを形成するというものだ。「いかにうまくやるかは,おそらくNGN間の競争になってくるだろう」と,伊藤副社長は指摘する。

 また伊藤副社長は,「通信事業者はネットワークのリアルタイム性(低遅延)の確保を,きちんと再認識していかなければならない」とも述べた。というのも,モバイルSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やモバイル・ビデオなど,人々が求める携帯電話の在り方が大きく変わり始めているからである。「特に若い世代の人たちは既に“リアルタイム文化”に慣れ親しんでいる。メールを送って5分以内に返ってこないと,もう親友ではないとまで言われていると聞く」。とはいえ,現状のメールではある程度の遅延は避けられないのが現状だ。このままではダメだというのである。

iPhoneの実機を見せながらこれを絶賛

 新しい携帯電話の在り方の「衝撃的」な例として伊藤副社長は,米Appleの「iPhone」を挙げた。伊藤副社長は,おもむろに実機のiPhoneを取り出して見せ,これを絶賛。「よくこれは一過性のもので大したことがないようなことを言う人がいるが,それはiPhoneをネットワークにつながずに短時間しか使ってみていないからだ。じっくり使ってみれば良さが分かる。このiPhoneをきっかけに,携帯電話の世界にいろいろな変化が起こってくる」と伊藤副社長は述べる。その変化とは,(1)スマートフォンが見直されること,(2)操作性の重要性が見直されること,そして(3)ビデオ通信の増加だという。

 最後に伊藤副社長は,米Sprint NextelのCTO(最高技術責任者)であるBarry West氏のビデオ・メッセージを披露した。West氏は,Sprint NextelにおけるWiMAX事業の責任者。同氏はビデオ上で,KDDIなど6社がWiMAX事業企画会社として立ち上げた「ワイヤレスブロードバンド企画」を支援することや,同社が事業化した後にはSprint Nextelとの間でローミング・サービスを行う計画があることなどを述べた。現在,他社との間で激しい争いを繰り広げているWiMAX免許の取得に関して,こうした海外との協力体制を既に持っていることをアピールしていた。