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写真●NTTデータのプリンシパルITスペシャリストの松田次博氏
写真●NTTデータのプリンシパルITスペシャリストの松田次博氏
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 企業ネットワークに使うのは光ファイバかワイヤレスか──。この問いに対して,NTTデータのプリンシパルITスペシャリストで情報化研究会主宰の松田次博氏は,「企業ネットワークの7割は光で2~3割はワイヤレスに置き換えられるのではないか」と答える。10月25日に開かれた日経コミュニケーション主催セミナーの「ワイヤレス中心で考えるNGNと企業ネットワーク」と題して講演での一コマだ。

 松田氏は講演の冒頭で,イー・モバイルの高速データ通信カードを使って,オフィスでブロードバンドを利用したエピソードを披露。「会社のLANにつながずに,イー・モバイルのカードを使ってインターネットにつなぎっ放しにしていたが,途中で切れることなく快適に使えた」(松田氏)。この経験から,松田氏はワイヤレスをモバイル環境だけではなくオフィス環境でも固定通信の代わりに使えば,「ADSLや光ファイバを使わずに,ワイヤレスを中心に使えばいいのではないか」と考えるようになったという。

 ワイヤレスが企業ネットワークの有力な選択肢になるとする根拠の一つが,技術やサービスの進歩。松田氏は,WiMAXや3.9G,フェムトセルなどの新技術に注目し「これから3~4年でワイヤレスは高速化,定額化,多様化が進む。数年間でワイヤレスが楽しくて仕方ない世界が始まる」と考える。その上で「ワイヤレスをうまく使うことが,企業のネットワークにとって大事になる」と強調する。さらに企業が新たに光ファイバを引くとなると,回線コストに加えて設置工事のコストも発生するが,「ワイヤレスを使えば工事をしなくても済む」と,松田氏は指摘する。

 ワイヤレスの有用性を主張する松田氏だが,光ファイバを否定するわけではない。むしろ,適材適所で光ファイバとワイヤレスをうまく使い分けていけば良いとの考えだ。例えば,安定した高速なネットワーク環境を必要とする大規模なオフィスやデータセンターでは光ファイバを使うのに対して,パソコンを数台しか設置しない中小規模のオフィスやオフィスの移転が頻繁に発生する場合はワイヤレスを活用した方が良いと,松田氏は提案する。

「ワイヤレス・ルータ」を開発

 オフィスで手軽にワイヤレス環境を構築する手段として,松田氏は「ワイヤレス・ルータ」を開発したことを明らかにした。

 このワイヤレス・ルータは,古河電工の協力を得て開発。本体には,ワイヤレス用のデータ通信カードを挿入するためのスロットを搭載しており,高速データ通信サービスを使ってオフィスにワイヤレス環境を構築できる。光ファイバとイーサネットを接続するためのポートの両方を搭載しており,ワイヤレスと光ファイバやADSLを併用することも可能。例えば,通常はワイヤレスを使用するが,バックアップ用にADSLを使用することも可能だ。標準価格は12万円で,2008年1月から利用できるようになるという。

 松田氏は,ワイヤレス・ルータの用途の1例として,列車内でのインターネット接続サービスを挙げる。「列車の天井に設置したワイヤレス・ルータにWiFi用のルーターを接続して利用すれば,乗客は無料でインターネットに接続できるし,車両のディスプレイにコンテンツを配信することもできる」(松田氏)。

NGNのイーサ通信に注目

 松田氏は,NGN(次世代ネットワーク)についても言及した。NGNで提供されるサービスの中でも,松田氏が注目するのが10Gビット/秒のイーサ通信サービスである。

 「東京と大阪に10Gのネットワークを張れるのはすごいこと。これまでは,LANの方が東京と大阪間のネットワークよりも速いというのが常識だったが,10Gの回線を使うと逆転し,ネットワークの使い方が変わる」と話す。LAN上であれば利用できたアプリケーションを,NGNのイーサ通信サービスで遠隔地からもLAN環境以上のパフォーマンスで利用できるようになると,松田氏は説明する。

 松田氏は,「10Gのイーサ通信サービスが安価な料金で提供されれば,モバイルの事業者が一番良く使うのではないか」と予想する。というのも,データ通信サービスの定額化が進んでトラフィックが急増すれば,コアのネットワークをいかに安く構築するかが,事業者にとって大きな課題になるからだ。「10Gのイーサ通信サービスは,思いがけない人が思いがけない用途で使うのではないだろうか」と,松田氏は期待している。