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 総務省は11月27日,通信事業者間の相互接続に関する制度などについて議論する接続委員会の第100回会合を開催した。現在,接続委員会ではNTT東西地域会社が2008年3月から商用サービスを開始するNGN(次世代ネットワーク)の接続ルールについて議論している。具体的には,(1)NTT東西のNGNの設備を「第一種指定電気通信設備」として規制の対象にすべきか,(2)NGNの設備や機能のアンバンドル化,(3)NGNの接続料の算定方法--などである。

 なかでも注目は,光ファイバの1分岐単位の貸し出し。NTT東西の加入者系光ファイバは現在,「PON」(passive optical network)という仕組みを使い,1本の光ファイバをユーザー宅の近くで8本に分岐する「シェアドアクセス方式」が主流。これを1分岐単位で借りたいという声が他の事業者から上がっている。

 今回の会合では11月16日の合同公開ヒアリング(関連記事)を受け,各事業者に対して実施した追加質問の回答を公表した。

 それによると,事業者振り分けスイッチやオペレーティング・システムの開発など,PONの1分岐単位の貸し出しを実現するためにかかる費用は「少なくとも数百億円規模。開発期間も仕様を決めてから最低2年程度かかる」(NTT東西)という。NTT東西は分岐した光ファイバを集約する「OLT」(光信号伝送装置)を複数の事業者で共用すると「サービス品質の確保や新サービスの提供に支障が生じる」として断固反対の姿勢を貫いている。

 そこでKDDIは,OLTを共用せず占有する形で1分岐単位の接続料を設定することを提案している。つまり,光ファイバ1本(8分岐)をまとめて貸りる点は現状と同じだが,接続料金はユーザーが利用する分岐数分だけを負担するという形態である。NTT東西はこれについては,「使用設備に応じた適正なコスト負担がくずれる。また収容効率の低い事業者は品質の良いサービスを提供できることになるので,設備を効率的に利用するインセンティブが働かなくなる。このような接続料は設定すべきではない」と反対の意見である。

 一方,NTT東西は「現状でもダーク・ファイバを使って事業者振り分けスイッチを自前で設置すれば希望する事業者間で設備の共有は可能」と主張している。これについて他事業者は「1分岐単位の接続料の設定を要求する狙いは,NTT東西と他事業者との間の公正競争の実現にある。ボトルネック事業者(NTT東西)と他事業者で競争環境が異なるのは不適当で検討すべきではない」(KDDI),「設備の共用にNTT東西が入るのと入らないのでは設備の稼働率が大きく変わってくる。NTT東西の平均収容効率が8分の3以下なのであれば,NTT東西も共用するメリットは十分にある」(イー・アクセス)と,あくまでもNTT東西との設備の共用を要求している。

 委員会での議論も今回は自由討議ということもあり,結論の方向性を出すには至らなかった。構成員からは「競争状況や技術的な問題などを踏まえて検討する必要があり,すぐに判断するのは難しい」「技術的には可能としてもNTT東西の主張も理解できる。このバランスをどう考えるか悩ましい」といった意見も出ており,問題の難しさを物語っている。

 次回の会合は12月11日の予定。次回から具体的な論点整理に入る。