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写真1:マイクロソフトWindows本部プロダクトマネジメント部の中川哲部長
写真1:マイクロソフトWindows本部プロダクトマネジメント部の中川哲部長
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写真2:休止状態からの再開時間を短縮した
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写真3:ハードディスク回転数管理機能を強化した
写真3:ハードディスク回転数管理機能を強化した
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 「Windows Vistaでは,これまでサービス・パックでなければ提供されなかったOSの性能や信頼性を向上させる修正プログラムが,定期的にリリースされている。Windows Vistaを導入するなら,2008年第1四半期に出るサービス・パック1(SP1)を待つ必要はない」--。マイクロソフトWindows本部プロダクトマネジメント部の中川哲部長(写真1)は11月27日,Windows Vistaに関する記者説明会でこう強調した。

 Windows XPまでの「修正パッチ」には,大きく分けて2つの種類があった。1つは,セキュリティぜい弱性や重要なバグを修正する深刻度の高い修正パッチであり,これらはOSの「自動更新」機能や「Windows Update」でユーザーが容易に入手できた。もう1つは,OSの性能や信頼性を向上させる深刻度の低い修正パッチで,これらの多くはユーザーには広く公開されず(サポート窓口に問い合わせたユーザーや「ダウンロード・センター」を利用するユーザーには提供されている),サービス・パックのタイミングでユーザーに提供されるのが一般的だった。

 つまりWindows XPまでは,OSの性能や信頼性を向上させる修正パッチの多くは,サービス・パックとしてのみ提供されていたわけである。そのため,「新しいバージョンのWindowsを導入するなら,サービス・パックがリリースされるのを待つのが無難」という「常識」が成り立っていた。

サービス・パック以外でもOSの性能を改善

 しかしWindows Vistaでは,修正パッチに関するポリシーが変更され,サービス・パック以外にも,OSの性能や信頼性を向上させる修正パッチが公開されるようになったという。マイクロソフトの中川氏は,「Windows Vistaでは既に,OSのパフォーマンスや信頼性,互換性を改善させる修正プログラム・パックが3個公開している。8月には2個の修正プログラム・パックを,10月には1個の修正プログラム・パックを公開している」と語る。

 マイクロソフトはこれまで,「修正プログラムよりもサービス・パックが優れている理由」(関連情報:マイクロソフトのWebサイト)として,「サービス・パックは随時公開される修正プログラムと比べて,十分にテストされている」と述べていた。これに関して中川氏は,「Windows Vistaで『修正プログラム・パック』として公開されているパッチは,サービス・パックと同様に十分なテストが重ねられている。ユーザーは安心して,修正プログラム・パックを適用してほしい」と語っている。

 なお,Windows Vistaの「修正プログラム・パック」は,OSの自動更新機能で必ず適用される「重要」な更新プログラムではなく,ユーザーが任意で適用する「推奨」の更新プログラムとして公開されている。適用するためには「Windows Update」を使って手動でインストールするか,「自動更新機能」の「推奨される更新プログラムについてもダウンロード,インストール,および通知する」という設定をオンにする必要があるので注意していただきたい。

 27日の記者説明会で解説された主な改善点は以下のとおり。

・「休止状態」からの再開時間の短縮

 Windowsの「休止状態」とは,作業中のメイン・メモリーのデータをハイバネーション・ファイルとしてディスクに書き出して,省電力状態になる機能のことを言う。ディスクに書き出した内容をメモリーに読み直せば,すぐに利用状態に復帰できるので便利だ。

 マイクロソフトによれば,10月にリリースされた修正パッチで,Windows Vistaにおける休止状態からの再開時間が「われわれの計測で3.4%,秒数にして0.8秒ほど速くなった」という。これはWindows Vistaの新機能である「Superfetch」の内部ポリシーを調整することで実現した(写真2)。

 Windows VistaのSuperfetchは,メモリーの利用状況を監視して,ユーザーが頻繁に利用するアプリケーションをあらかじめメモリーにロードしておく機能である。従来は,このSuperfetchが,ハイバネーション・ファイルの読み直し時にも最優先で動作していたため,「ハードディスクからメモリーへのデータの読み出しを阻害していた」という。休止状態からの復帰時には,Superfetchの優先度を引き下げるようにすることで,復帰にかかる時間を短縮した。

・バッテリ駆動時間の改善

 Windows Vistaには,ハードディスクの回転数を動的に変化させることで,バッテリ駆動時間を改善させる機能が搭載されている。今回,このハードディスク回転数管理機能を強化することで,「われわれの計測では,バッテリ駆動時間を35%延長させた」(マイクロソフト)という。

 従来は,ハードディスクに対して断続的なアクセスがあるときは,回転数をなるべく落とさないようにしていた。しかし,「Windows Vistaには,ユーザーが頻繁に利用するアプリケーションをあらかじめメモリーにロードしておくSuperfetchのような機能があり,Windows XPに比べてディスク・アクセス数が増えてしまった」(マイクロソフト)という。そこで,アプリケーションに影響を与えない範囲でなるべく回転数を落とすように,回転数管理機能のアルゴリズムを調整したという(写真3)。

・無線ネットワークの安定性向上

 無線ネットワークの電波状態の感知ロジックを改善させ,電波が弱い無線ネットワークに参加している際にも,安定してネットワークに接続し続けられるようにした。

・起動時間を短縮

 OSの起動時やユーザーのログオン時に起動される各種サービスを,マルチ・プロセスで起動するよう最適化することで,OSの起動時間を短縮した。マイクロソフトでは,「OSのサービスには様々な依存関係があり,マルチ・プロセスで起動するのは難しい。今回は,パラレルに起動させるプロセスの組み合わせを最適化することで,同時に起動できるサービスの組み合わせを増やした」と説明している。

・フォト・スクリーン・セーバーからデスクトップ画面に復帰する時間の短縮

 Windows Vistaでは,スクリーン・セーバーをDirect Xベースで描画することで,スクリーン・セーバー使用時のプロセッサ使用率を抑えている。しかし,画像ファイルを表示する「フォト・スクリーン・セーバー」だけは「3D表示するものではないため,通常のスクリーン・セーバーとは別のレイヤーを設けて表示させている」(マイクロソフト)という。

 よってこれまでは,フォト・スクリーン・セーバーを終了してデスクトップ画面に復帰する際には,フォト・スクリーン・セーバーのプロセスを終了させる必要があり,他のスクリーン・セーバーよりも画面の復帰に時間がかかっていた。今回,フォト・スクリーン・セーバーのプロセス終了よりも,デスクトップの表示を優先させるように調整したので,復帰時間が短くなったという。

・高解像度モニタでHD DVDやBlu-ray動画を再生した場合の品質向上

 これまでは,HD DVDやBlu-rayの動画を再生する際の内部バッファ(デコードした動画のデータを一時的に記録するバッファ)が足りず,「動画がカクカク再生されることがあった」(マイクロソフト)。今回,内部バッファを増量することで,動画再生品質を向上したという。