「技術を技術としてだけみるのではなく、それによりどのようにビジネスを変えられるのか、顧客の生活や社会全体がどう変わるのかを分析することが重要だ」――。米ガートナー リサーチで先進技術動向を担当するジャッキー・フェン バイスプレジデント兼ガートナー フェローは、こう語る。同氏は11月28日、ガートナー ジャパンが開催した「Symposium/ITxpo 2007」において、これからのテクノロジのとらえ方について講演した。
講演では、今後5~10年を見越した際に注目すべき技術とその概要を解説した。具体的には、仮想世界を含めたWeb関連技術、ユーザー・インタフェース、3次元プリント、ロボットといった技術である。
特に時間を割いて解説したのがWeb関連技術。「Web自体がユーザーのコンテクスト(文脈)を察知し、必要な情報を選んで提供するようになる」と話す。セマンティックWebといった技術を利用することで可能になる。さらに、現在の仮想世界やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が渾然一体となり、多数対多数がコミュニケーションできる「Webプラットフォーム」になるとした。
社会的にインパクトが大きいのは、人間の能力を強化する技術だとする。「これまでの技術は、『けがを治す』のと同じように、普通の状態に戻すことに主眼が置かれていた。今後は、より能力を高めるために技術を使うようになるだろう」という。具体例として、指に磁石を埋め込んで感覚を高めたり、赤外線が見える視力を持たせたりを挙げた。「技術だけでなく倫理の観点からも注目すべき」(同)と話す。
一方、この1~2年で飛躍的に進化した技術としてユーザー・インタフェースを挙げた。「任天堂のWiiの成功を見れば分かるように、ジェスチャーを入力に活用する事例が増えている」と説明する。
フェン氏は最後に、「ITに携わっている皆さんは、テクノノロジが与える影響を判断できるというアドバンテージを持っている」として、講演を締めくくった。