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講演するリコーの遠藤紘一専務執行役員
講演するリコーの遠藤紘一専務執行役員
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 11月28日,東京の台場で開催されたGartner Symposium/ITxpo2007の基調講演でリコーの遠藤紘一専務執行役員が登壇,「90年代前半の赤字経営から脱し,グローバル市場で高い競争力を持つまでには,独自開発のSCMシステムを基軸とした経営改革が不可欠だった」と,IT活用の重要性を強調した。

 90年代前半,リコーは市場でのコスト競争力を失って業績が一気に悪化,営業赤字に転落した。当時のコピー機市場は,アナログ機からデジタル機への移行が進んでおり,電子部品のコストが製品コスト全体に占める比率が2.5倍に跳ね上がった。そこで同社はまず,調達する電子部品の種類を3万5000点から3000点に絞り込むとともに,取り引きメーカーの数も削減して,40社から90%以上の部品を調達するようにした。その上で,集約した部品メーカーとの連携を強化し,徹底した情報共有に乗りだした。すなわち,いつ頃,どのような仕様の部品が,どれくらいのコストで調達できるかを,2年先までの将来予測を含めてデータベース化した。

 「ITベンダーの中には,数万点の部品情報を登録しているという高価な部品データベースを売りに来るところもあったが,時代遅れで使えない部品も多いうえ,データの更新費用が非常に高いため,採用しなかった」と遠藤氏は話す。データベースは“鮮度”が非常に重要なのだ。リコーの場合,部品の登録数は3000~5000点だが,毎月150~200点を入れ替え,常に最新の情報が得られるようにしている。

 SCMの中核である部品データベースは,コストだけでなく,開発期間の短縮にも大きく貢献している。かつてコピー機の製品サイクルは3年~5年だったが,最近は1年半~2年程度。そこで設計現場のCADと部品データベースを連携し,回路図を作成して発売予定時期を入力すれば,自動的に推奨部品が配置されるようにした。この仕組みによって,量産に入る段階でちょうど最新の機能と性能,安定した品質を備えた部品を低価格で調達できるようになり,リコーのコピー機は競争力を大きく高めることができた。

 現在は主要サプライヤー252社との間でSCMシステムを構築している。「オンデマンドSCMの導入によって納期と部品在庫が半減し,企業体質を大幅に強化することができた」という遠藤氏は,「会社の経営上の問題点を可視化し,改革を支えたのはITだ」と明言する。