PR
写真1●「グリーンITイニシアティブ」第1回会議の様子
写真1●「グリーンITイニシアティブ」第1回会議の様子
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●「日本をグリーンITの国際的リーダーに」と語る甘利明経済産業大臣
写真2●「日本をグリーンITの国際的リーダーに」と語る甘利明経済産業大臣
[画像のクリックで拡大表示]

 経済産業省とIT関連分野の業界5団体などは12月6日,環境負荷の低減に貢献する電子・情報技術の開発や普及を推進する「グリーンITイニシアティブ」を立ち上げ,第1回会議を開催した(写真1)。

 甘利明経済産業大臣はグリーンITイニシアティブの始動にあたり,「ITを活用した省エネも,ITそのものの省エネも,民間のさらなる取り組みが不可欠。グリーンITで世界をリードしていきたい」と述べた。(写真2)。経産省が音頭をとり,産業界を巻き込んで「グリーンIT立国」を目指す。

 経産省からは甘利経産相のほか,望月晴文資源エネルギー庁長官らが出席。産業界側からは,電子情報技術産業協会(JEITA)の町田勝彦会長,日本電気工業会(JEMA)の庄山悦彦会長,情報サービス産業協会(JISA)の浜口友一会長など,IT/電子機器分野の業界トップが一堂に会した(表1)。

 グリーンITイニシアティブの活動の目的は,グリーンITを利用して環境保護と経済成長を両立させることにある。そのために「ITによる省エネ」と「ITの省エネ」を推進する。その柱は「産学官の連携強化」,「政府のイニシアティブ」,「国際的リーダーシップ」の3つである。

 「産学官の連携強化」に向けた取り組みとしては,「グリーンIT推進協議会(仮称)」を2008年1月にも設立する。会長には町田勝彦JEITA会長が就任する。ITベンダーや研究機関,大学が連携する場を作り,(1)省エネなどの効果が高い技術のロードマップ作成,(2)IT活用による環境負荷低減の長期予測・評価,(3)新技術の社会への導入や啓蒙普及,(4)国際連携や情報発信による国際的リーダーシップの発揮,などの活動を行う。

 「政府のイニシアティブ」の代表的な取り組みは,経産省が2008年度に実施予定の「グリーンITプロジェクト」だ。約48億円を投じ,IT機器の省エネ化や,ITシステム全体を省エネ化する新技術の開発を進める。また,環境経営やIT経営の考え方を啓蒙するほか,グリーンITの環境貢献評価を推進する。単にIT機器を省エネ化するだけでなく,IT機器生産のサプライチェーン全体で環境負荷をどの程度軽減しているかを評価できるようにするという。

 「国際的リーダーシップ」の確立に向けた取り組みとしては,2008年5月にグリーンIT国際シンポジウムを開催する。国内はもちろん,海外からもベンダーや研究機関などの関係者を招聘し,国内外に情報を配信する予定である。7月の洞爺湖サミットを前に,「グリーンITの日本」をアピールする狙いがある。


表1●第1回グリーンITイニシアティブ会議の産業界出席者
出席者団体役職
町田勝彦電子情報技術産業協会(JEITA)会長
庄山悦彦日本電気工業界(JEMA)会長
内田勲日本電気計測器工業会(JEMIMA)会長
浜口友一情報サービス産業協会(JISA)会長
河野俊二日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)会長
吉川弘之産業技術総合研究所(AIST)理事長
村田成二新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長


グリーンIT立国の方針を明確化

 経産省がグリーンITイニシアティブを開始した背景には,京都議定書の温室効果ガス排出量の6%削減目標に向けて,グリーンITが大きな役割を果たすのではないかという期待がある。IT機器自体の省電力化もさることながら,製造・流通・運輸など多くの業界においてITの活用によりCO2排出量を大きく削減できるケースがある。そういった取り組みを後押ししたい考えだ。

 これまでもIT業界においては,各ベンダーがサーバーやデータセンター設備の省電力化に向けた取り組みを開始している(関連記事1)。日本IBMの「Project Big Green」,日立製作所の「CoolCenter50」や「Harmonious Greenプラン」,NECの「REAL IT COOL PROJECT」などがそうだ。ただ,これらは企業レベルの取り組みに終始していた。JISAやJEITAなどがCO2排出量削減の自主行動計画を設けているものの,業界全体の施策とまではいえなかった。

 その点では,外資系ベンダーの取り組みが一歩先を行く。AMD,HP,IBM,Sunの主導でデータセンターの電力コスト削減を目指す業界団体「The Green Grid」や,米インテルがグーグルなどと共同で環境問題に取り組む業界団体「Climate Saversコンピューティング・イニシアチブ」が相次ぎ発足(関連記事2)。電力消費の効率化技術や,それを測る指標,省電力化のためのガイドラインなどを検討課題に挙げて活動を開始している。

 ただ,これらの団体のターゲットは,データセンターやサーバーなど特定分野が主である。経産省が主導する「グリーンITイニシアティブ」は活動の対象を大きく広げ,IT機器を含めた電子機器全般までをターゲットにする。これにより,「日本のお家芸である『ものづくり』をベースに,『グリーンITの日本』をアピールする」(経産省 商務情報政策局情報通信機器課の星野岳穂参事官)。また,企業だけでなく,家庭における環境対策も視野に入れる。業界リーダーが結束し官が後押しする大型プロジェクトの評価は,環境負荷低減の成果をどこまで出せるかかっている。