PR
モバイルWiMAXの端末。外付け型は無線LANルーター一体型で、モバイルWiMAX通信時は3本あるアンテナのうち両端の2本を使用する
モバイルWiMAXの端末。外付け型は無線LANルーター一体型で、モバイルWiMAX通信時は3本あるアンテナのうち両端の2本を使用する
[画像のクリックで拡大表示]
PCカード型のモバイルWiMAX端末を挿したノートパソコン。動画のストリーミング再生を実施した
PCカード型のモバイルWiMAX端末を挿したノートパソコン。動画のストリーミング再生を実施した
[画像のクリックで拡大表示]
100m程度離れた実験局からの電波で、約4.8Mbpsの通信速度を記録した
100m程度離れた実験局からの電波で、約4.8Mbpsの通信速度を記録した
[画像のクリックで拡大表示]
NEC玉川事業所内の建物の屋上に、モバイルWiMAXの実験用基地局を設置している
NEC玉川事業所内の建物の屋上に、モバイルWiMAXの実験用基地局を設置している
[画像のクリックで拡大表示]
開発中のSuper3Gの機器
開発中のSuper3Gの機器
[画像のクリックで拡大表示]
Super3G環境で動画のストリーミング再生とFTPを同時に実行。約43Mbpsを記録
Super3G環境で動画のストリーミング再生とFTPを同時に実行。約43Mbpsを記録
[画像のクリックで拡大表示]
NECが開発したHSDPA対応のフェムトセル。一般の基地局とフェムトセルとのハンドオーバーも実証済みという
NECが開発したHSDPA対応のフェムトセル。一般の基地局とフェムトセルとのハンドオーバーも実証済みという
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは2007年12月10日、IEEE 802.16e(モバイルWiMAX)に準拠した通信設備や端末などを商品化し、販売活動を始めたと発表した。まずは台湾や欧州でWiMAXの公衆サービスを計画している通信事業者に向け販売する。日本国内での展開も視野に入れている。

 モバイルWiMAX対応製品群は、エンドユーザー向けの外付け型とPCカード型の端末、通信事業者向けの基地局設備とアンテナ、そして複数の基地局を管理しハンドオーバーを制御するASNゲートウェイと呼ばれる設備である。これらの製品群を、「PasoWings」というシリーズ名で販売する。

 既にNECは、台湾の大同電信と共同でモバイルWiMAXの実証実験を展開中。台湾東部の花蓮市内で屋外にモバイルWiMAXの基地局を設置し、移動する車の中でも途切れずに映像の伝送が可能なことなどを実証している。さらにNECは、大同電信の本格サービスに向けて基地局200基とそのシステム構築などを12月6日に受注している。今後は、モバイルWiMAXや固定型のWiMAXが比較的早期に立ち上がるとみられる東欧などを中心に、販売活動を本格化する方針という。

「携帯電話事業者以外への販売には自信ある」

 NECの海外向け通信設備事業としては、マイクロ波伝送システム「パソリンク」が好調。「現在の世界シェアは2位。もう少しで1位に手が届く」(NEC 執行役員 モバイルネットワーク事業本部長の遠藤信博氏)。一方、W-CDMAやHSDPA、HSUPAといった携帯電話向けの基地局についてNECは、独シーメンスと共同で事業展開しているが伸び悩んでいる。この要因について遠藤氏は、「携帯電話事業者向けの3G設備では、NECがGSM向けの通信設備を手掛けていなかったことが壁になっていた」と振り返る。

 NECにとって、WiMAXではこうしたハンディキャップがなく、海外の通信機器メーカーとも互角に渡り合えると考えている。「世界的にみて、WiMAXを手掛ける通信事業者の多くは固定電話事業者やインターネット接続事業者(ISP)。(携帯電話事業者向けの商談と異なり)GSMでの実績と関係ないため、やりがいがある」(遠藤氏)。同社では、WiMAX関連の機器販売やシステム構築などにより、2009年度に2500億円の事業規模を見込んでおり、世界シェア10~20%の獲得を目指す。

 12月10日に開催した報道関係者向けの説明会では、実際にモバイルWiMAXの製品群を使ったデモを実施した。会場となった川崎市のNEC玉川事業所には、2.5GHz帯のモバイルWiMAXの実験局を建物屋上に設置している。この日のデモでは、大容量の動画をモバイルWiMAX網経由でストリーミング配信し、PCカードを挿したノートパソコンで再生した。帯域は10MHz幅で、2×2のMIMO方式のアンテナを使用。基地局と端末との距離は約100m。端末は建物内だが、壁は全面ガラス張りで基地局までの間に大きな障害物はない。こうした状態で、約4.8Mbpsのデータ転送速度を記録していた。

Super3Gやフェムトセルの展示も

 この日の説明会では、ほかにNTTドコモ向けに開発している、「Super3G」または「Long Term Evolution」(LTE)と呼ばれる3.9Gの携帯電話技術のデモも実施した。呼接続とサーバーへのping送信を実演し、伝送遅延が約5ミリ秒と3Gの約半分に収まることを示した。データ伝送の実演ではFTPと動画のストリーミング配信を同時に行い、約43Mbpsのデータ転送速度を実現できることを示した。

 実演展示はなかったものの、家庭向けの3Gの超小型基地局(フェムトセル)も展示した。エンドユーザーはSIMカードの挿入、電源端子とLAN端子の接続だけを行えばよく、それ以降の設定はフェムトセルと携帯電話事業者のサーバーとの間で自動的に処理するという仕組みになっている。現在のところ下り最大3.6MbpsのHSDPA方式でのデータ伝送が可能で、上り速度を高速化するHSUPAにもファームウエアの書き換えで対応可能としている。フェムトセルに関しては「既に開発は完了しており、一部では通信事業者との商談も始まっている」(遠藤氏)という。欧州向けを中心に、2008年に量産出荷を始める計画だ。