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写真●定例会見で記者の質問に答えるKDDIの小野寺正社長兼会長
写真●定例会見で記者の質問に答えるKDDIの小野寺正社長兼会長
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 KDDIの小野寺正社長兼会長(写真)は12月19日,定例の社長会見を開催した。モバイルWiMAXや携帯電話の販売状況,フェムトセルなど,最近のホットなテーマについて記者の質問に答えた。

 まず,一部報道でKDDIが出資する事業会社(関連記事)が2.5GHz帯免許に内定したと報じられているモバイルWiMAXについて小野寺社長は,あえてその真偽には触れずに,当選後を見据えたかのように具体的な展開について語った。落選陣営がネットワークの貸し出しを求めた場合は,「MVNO(仮想移動体事業者)には積極的に対応する」と宣言。ただし「MVNOだけの展開では,最初に誰が主体となってエリアを作っていくのかという問題がある」とも指摘する。MVNOと直販の両面で事業を進めていく方針を改めて示した。

 モバイルWiMAXの販売形態については,「携帯電話を対象としたau事業とはまったく別のモデルになる。モバイルWiMAXは,チップがあらかじめ入ったノートPCなどが対象で,奨励金を必要とするモデルではない。卸値と小売価格の差は小さくなり,モバイルWiMAXのサービスは,auのデータ通信サービスよりも安くなるだろう」と説明した。基地局の設営についても「データ通信の利用を念頭に置いた作りになる」と説明し,音声をサポートするauのネットワークよりも設備投資の面でも抑えられる点を強調した。

au買い方セレクトは販売不振の原因にあらず

 一方,直近の携帯電話の販売状況について小野寺社長は,「12月の販売状況は苦しいと見ている」と説明した。その理由は冬モデルの目玉である,米クアルコムの新チップセットを使ったKDDIの新しい携帯端末プラットフォーム「KCP+」搭載機の出荷が遅れているからだ。当初は,KCP+を搭載した「W56T」「W54S」「W54SA」を12月に発売する予定だったが(関連記事),「開発の遅れなどで2008年1月下旬以降になる」。

 ただ,新しく用意した販売方法である「au買い方セレクト」(関連記事)が販売に与えた影響について聞かれると,「まったく問題はない」と回答した。「(販売不振は)単に魅力的な端末が店頭に不足しているから。現在のラインアップでも,他社に先駆けて有機EL搭載機を発売している。その画面の美しさを訴求していきたい」とした。

フェムトセルで違法電波が助長される可能性を指摘

 2008年の実用化が見込まれるフェムトセル(関連記事)については,「技術的な検討は進めているが,我々は他社と比べてあまり積極的には見えないだろう。それは我々がフェムトセルの問題点もよく理解しているから」と切り出した。

 小野寺社長は,フェムトセルの問題点として「ユーザーがフェムトセルを勝手に置いた場合の干渉の問題」と「フェムトセルで違法電波が助長される問題」の2点を挙げる。前者については「CDMAは干渉に強いが限界もある。(周辺の基地局の電波などを同時に受信できる)レイク受信はCDMA2000では3波までなら検出できる。しかしユーザーがフェムトセルを多数置いた場合は,その数が膨大となり干渉などの悪影響を及ぼし始める。本当に技術を理解している人は,その問題が分かるはずだ」と語った。

 後者については,「フェムトセルが実用化されれば,電波出力を上げるなど改造する人が出てくるだろう。そうなると不法な無線基地局があちこちにできる。この点を最も恐れている」と指摘。実際,既に不法の無線基地局はかなりの数が存在しており,携帯電話網に悪影響を与えているという。「不法基地局は,現行犯で捕まえることしかできず苦労している。この制度を変えない限り,フェムトセルは問題になるだろう」と述べた。

固定アクセスをやらなければKDDIの存在価値を無くす

 固定系のアクセス事業について,2008年はこれまで以上に注力していく方針も示した。「固定事業は苦戦しているが,IPの時代はアクセス系を自社で持たなければ利益につながらない。我々がアクセス系をやらないとNTTの独占になり,値上げも平気でするだろう。固定系のアクセス事業をやらなければKDDIの存在価値を無くす。苦しいが続けていく」と語った。