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写真●大和証券グループ本社の中村明常務執行役(CIO)
写真●大和証券グループ本社の中村明常務執行役(CIO)
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 「ビジネスとITの両方の専門性を個人に求めるのは難しいし,その必要もない」。大和証券グループ本社の中村明常務執行役(CIO)は2008年2月1日,ITpro EXPO 2008で「グループ経営におけるIT力の向上」と題した基調講演を行い,こう述べた。「個人ではなく組織のレベルでビジネスとITを融合させることが大切だ」と組織作りの大切さを強調した(写真)。

 大和証券は昨年,日経コンピュータが実施した企業のIT活用状況の調査である「第2回企業のIT力ランキング」において,調査対象270社中総合3位,証券分野では1位に輝いた。IT力ランキングは,「経営層との関係作り」「人材育成」「IT投資の管理」「ベンダーの選定」など8つの柱でスコアを算出している。大和証券は「先進技術の導入」「人材育成」「稼働しているシステムの機能」「ベンダー選定」などの柱で高いスコアを獲得した。

 優れた結果を残した理由について中村CIOは「グループで一体となって,ITへの取り組みを強化しているため」と説明した。具体的な取り組みとして,持ち株会社とリテールの大和証券,ホールセールの大和証券SMBC,システム子会社である大和総研などの間で積極的な人事交流を実施したり,大和総研に最新技術を検証する部隊を設けたことを挙げた。

 組織を再編する理由については「調査会社のガートナーが実施した調査の結果にも表れていたが,私の実感としても,これからはITに関してより専門的な知識を持った人材が求められるようになる。ビジネスとITの両方に詳しい人材が必要,との声もあるが,それは個人に求めるのではなく組織に求めていくことが妥当だと思う。このような考えを実践するため人事交流を進めている」(中村CIO)。

 大和証券が実施した人事交流のうち最も注目すべきは,持ち株会社,リテール,ホールセールの3社のCIOを大和総研から輩出しているところだ。中村CIOは「システム子会社から3社のCIOを出しているのは,ほかの証券会社に類をみない特徴」と語った。このような大胆な人事交流により,「個人が証券やシステムといったそれぞれの業務に集中しながらも,部門や各社,グループ全体が組織としてITに関する取り組みを強化することが可能だ」(中村CIO)とした。

 大和証券は昨年,グループ全体でシンクライアント1万台を導入する計画を発表し,現在は導入を進めている最中だ。大和総研に最新技術の検証部隊を設けるなど,新しい技術を取り入れる準備を怠っていない。中村CIOは「リテールやホールセールの各社は日々の業務の執行に忙しく,最新技術を追っている時間がない。だが,グループ間での情報共有や人事交流によって,グループ全体に最新技術を取り入れられるように努めている」と語った。