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写真●「ITproグリーンITフォーラム2008 Spring」の特別講演 パネルディスカッションの会場風景。パネリストは,東京大学大学院工学系研究科の松野泰也准教授,インテル事業開発本部本部長の宗像義恵氏,日本IBM テクニカル・セールス・サポート ICP・コンサルティングITS システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐々木言氏,日本AMD エンタープライズビジネスデベロップメント本部本部長の多田和之氏(写真右から)。モデレーターはITproディレクターの浅見直樹(写真の一番左)。
写真●「ITproグリーンITフォーラム2008 Spring」の特別講演 パネルディスカッションの会場風景。パネリストは,東京大学大学院工学系研究科の松野泰也准教授,インテル事業開発本部本部長の宗像義恵氏,日本IBM テクニカル・セールス・サポート ICP・コンサルティングITS システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐々木言氏,日本AMD エンタープライズビジネスデベロップメント本部本部長の多田和之氏(写真右から)。モデレーターはITproディレクターの浅見直樹(写真の一番左)。
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 2008年3月13日,東京・渋谷で開催された「ITproグリーンITフォーラム2008 Spring」の特別講演で,産学のグリーンITリーダーが登壇し,「テクノロジー・イノベーションこそがグリーンIT推進の原動力に」をテーマにパネルディスカッションを行った。パネリストは東京大学の松野泰也准教授,インテルの宗像義恵氏,日本IBMの佐々木言氏,日本AMDの多田和之氏。モデレーターはITproディレクターの浅見直樹(写真)。

 IT機器の電力消費量が急激に増大し,地球温暖化を加速する要因になろうとしている。「いっそのこと我々はIT機器の使用をやめた方がいいのではないか」と浅見ディレクターは問題を提起する。

 これに対し東大の松野氏は「ITには機器の使用に伴う電力消費というマイナス面と,情報通信サービスの利用によって産業や生活の資源エネルギー効率を高めるというプラス面がある。効果の高いIT活用を進めることによって,トータルでのCO2削減に努めるべきだ」と答える。

 「地球環境保護は大きな課題だが,必ず問題を解決するテクノロジーイノベーションが成し遂げられる」と語るのは,インテルの宗像氏だ。「省資源化,省エネ化など,環境負荷を低減する技術開発は企業の使命。インテルも,CPUアーキテクチャとプロセス・テクノロジーの改良を2本柱に,省電力プロセッサの開発に取り組んでいく」。

 グリーンITをブームに終わらせず,着実に進めていくにはどうすればいいか。日本IBMの佐々木氏は,「グリーンITは1社だけで実現できるものではない。ITベンダー同士の連携はもちろん,業界の枠を越え,政府や自治体,時には消費者をも巻き込んだコラボレーションが大きな成果を生む」と強調する。

 例えばスウェーデンのIBMがストックホルム市とのコラボレーションによって実現した渋滞税の課金システム。市の中心部に入ってきた車をカメラで撮影し,車のナンバーを基に,あらかじめ登録しておいたクレジット口座から渋滞税を引き落とすという仕組みだ。

 「渋滞税のシステムを導入したことによって,市内に乗り入れる車が排出するCO2は40%も削減された。一方で,公共交通機関の利用者が6%増加した。ストックホルム市との協業により,環境負荷の削減に大きな成果を上げることができた」と佐々木氏は評する。

 日本AMDの多田氏も“連携”の重要性を説く。「データセンターの省電力にしても,電源,冷却,空調などあらゆるテクノロジーを組み合わせることではじめて実現できる。もはやベンダー1社のテクノロジーで問題を解決できる時代ではない」と語り,グリーン・グリッドの参加などを通して,業界の枠を越えた取り組みを広げていく構えだ。

 グリーンITの推進でもう一つ欠かせないのは,ユーザーの意識を変えること。ベンダーが開発したテクノロジーをユーザーが使いこなせるかにかかっている。

 ここで松野氏は,トヨタの環境戦略の例を引く。プリウスは同じクラスのカローラよりも20万~30万円価格が高い。だが燃費がよくガソリン代を抑えられるため,購入から廃棄までにかかる費用=ライフサイクルコストでは,プリウスの方が安い。しかも環境負荷も低い。「この環境戦略によって,トヨタはユーザーの心をつかんだ。IT機器でも同じことが言える」と松野氏は話す。

 初期コストは高くても,ライフサイクル全体で考えた場合,環境負荷が小さく,コストも安いのはどちらか──こうした発想が,これからのITユーザーに求められている。