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 日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)など通信関連の業界関連4団体は2008年3月17日,「帯域制御の運用基準に関するガイドライン(案)」に対する意見募集を開始した。同ガイドラインは,JAIPAと電気通信事業者協会,テレコムサービス協会,日本ケーブルテレビ連盟が昨年9月に発足させた「帯域制御の運用基準に関するガイドライン検討協議会」で検討してきたもの。今回の募集に対して提出された意見を参考にして,5月にガイドラインをとりまとめる予定である。

 帯域制御に関するガイドラインを策定する目的は,主に「(接続事業者が)違法な状態で帯域制御をする状態を是正することと,ユーザーへの告知もきちんと実施し,通信の秘密を侵害しない形で帯域制御をしてもらうこと」(JAIPAの立石聡明・副会長 事務局長代理)の2点。ガイドラインでは,トラフィックの渋滞問題は設備投資で解決するのが基本原則であり帯域制御は例外という考え方を前提にした上で,「帯域制御をどういう場合に実施してよいか,実施するならどういう方法があるか,実施する場合に利用者保護の観点からユーザーにどう告知しなくてはならないかを記した」(JAIPAの木村孝・会長補佐)内容になっている。

 ガイドライン案では,「P2Pファイル交換ソフトなど特定のアプリケーションを制御する」「特定のユーザーの利用を制御する」の二つの方法を取り上げ,通信の秘密および利用の公平との関係を整理。しかるべきユーザーへの周知(情報開示)方法を説明している。ただし,二つの方法のどちらを採用するべきかや,どの数値をもって帯域制御に踏み切るかは,ISP(インターネット接続事業者)のネットワーク構成が千差万別であるうえ,各社でポリシーも異なるため触れていない。

ISP280社に対して実施したアンケート結果を公表

 ガイドライン案には,国内のプロバイダに対して実施したアンケート調査の結果も盛り込んだ。アンケートは2007年11月,ISPを中心とする電気通信事業者,コンテンツ・プロバイダなどに帯域制御の実施状況を聞いたもので,280社から回答を得ている。280社のうち,帯域制御を実施している事業者は約25%。ローミング先が帯域制御している場合も含めると約38%。ほかに約11%の事業者が,帯域制御の実施を検討中とした。

 帯域制御を実施中または検討中の99社に帯域制御の方法を聞いたところ,最も多かったのは「帯域制御装置でP2Pなど特定のアプリケーションを制御する」で約60%。その他の方法として挙がったのは「特定のポートの帯域を制御,しゃ断する」(約12%),「ヘビーユーザーの帯域を制御する総量規制」(約13%),「その他,検討中など」(約15%)だった。実施または検討する理由として一番多かったのは「ユーザー間のネットワーク利用の公平性確保」で約53%。「サービスの品質確保」の約18%がこれに続く格好となった。

 アンケート結果で判明し,ガイドライン案にも明記されたポイントの一つは,帯域制御と通信の秘密との関係。通信内容を人為的にチェックせず,帯域制御装置で特定のプロトコルやアプリケーションの帯域を制御するのは通信の秘密を侵害することに該当しないと考える旨の回答が見られたという。人間ではなく機械がトラフィックを見るのであっても通信の秘密の侵害になるため,ガイドラインでは帯域制御を「正当業務行為」(刑法35条で規定)として解釈しているという。

 アンケートではこのほか,帯域制御の効果や苦情の発生,ユーザーへの周知についての状況と,他社の制御やガイドラインへの要望などを聞いている。

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