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 日経BP社は2008年4月4日,「第18回 日経BP技術賞」の表彰式を開催した。表彰したのは,大賞および,電子,情報通信,機械システム,建設,医療・バイオ,エコロジーの6分野で計11の部門賞。情報通信部門賞には,世界最速を記録したベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」(開発はNEC)と,無線LANアクセス・ポイントのビーコン信号を利用する位置推定技術「PlaceEngine」(同ソニーコンピュータサイエンス研究所)の2つが選ばれ,それぞれの代表者に記念の盾が手渡された(写真1写真2)。

写真1●表彰式で盾を受け取るNECの伊藤行雄執行役員常務   写真2●CSLを代表して表彰式で盾を受け取る東京大学大学院 情報学環の暦本純一教授
写真1●表彰式で盾を受け取るNECの伊藤行雄執行役員常務
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  写真2●CSLを代表して表彰式で盾を受け取る東京大学大学院 情報学環の暦本純一教授
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写真3●ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」のプレゼンテーション
写真3●ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」のプレゼンテーション
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 SX-9は,NECが2007年10月に発表したベクトル型スーパーコンピュータの最新機種(写真3)。システムの最大性能を,前機種「SX-8」の約13倍に相当する839テラFLOPSまで引き上げた。この839テラFLOPSは,世界のユーザーが利用中のスパコン性能をランクしている「TOP500」(2007年11月時点)の1位に対して理論値として2倍弱の値であり,2004年6月まで世界トップだった「地球シミュレータ」の約20倍に相当する(関連記事)。2008年3月から出荷を開始しており,すでに東北大学情報シナジー機構情報シナジーセンターが導入済みだ。

 表彰式で代表を務めたNECの伊藤行雄執行役員常務は,「我々の技術が日本にとって重要だと認めてもらったということであり,非常に嬉しく思う。スーパーコンピュータは利益の出しにくい製品。しかし,こうした最先端技術は,サーバーやストレージなど他のプラットフォームに応用していける。これからも“とんがった”部分を,継続的に開発し続けていきたい」と語った。

写真4●無線LANを使う位置推定技術「PlaceEngine」のプレゼンテーション
写真4●無線LANを使う位置推定技術「PlaceEngine」のプレゼンテーション
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 一方,ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)が開発したPlaceEngineは,公衆無線LAN接続サービスや個人宅,企業などの無線LANアクセス・ポイント(AP)が発するビーコン信号を利用してユーザーの現在位置を推定する技術(写真4)。(1)無線LAN機能を内蔵しているノート・パソコンであれば,特別なデバイスを追加しなくても位置情報の取得が可能になる,(2)GPSの衛星を捕捉しにくい屋内などでも,無線LAN APがあれば位置取得が可能になる---といったメリットがある(関連記事)。

 開発元はCSLだが,現在は,CSLでPlaceEngineの開発に携わった技術者がスピンオフして2007年7月に設立したクウジットがライセンスを提供している。すでに「プレイステーション・ポータブル」(PSP)用地図ナビゲーション・ソフトに採用されているほか,ポータル・サイト「goo」を運営するNTTレゾナントがPlaceEngineを利用した位置測定実験サービスを提供中だ。

 CSLインタラクションラボラトリー室長およびクウジット取締役を兼務する,東京大学大学院 情報学環の暦本純一教授は,「すばらしい賞の中に入れてもらって感激している。インターネットというバーチャルな世界と現実の空間を,どのように大規模につなげていくかという点に興味を持って研究・開発を進めてきた。PlaceEngineは実用性の高い技術。今後も発展させていきたい」と,受賞の喜びを語る。

 日経BP技術賞は,電子,情報通信,機械システム,建設,医療・バイオ,エコロジーの各分野で,産業や社会に大きなインパクトをもたらす優れた国産技術を毎年1回,表彰するもの。1991年の創設で,2008年は18回目にあたる。なお2008年の大賞には,京都大学 山中伸弥研究室の「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立」が選ばれている(大賞・各部門賞の詳細は,2008年「日経BP技術賞」のページを参照)。