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写真1●画像処理技術「Light Field Photography」の概要
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写真2●Light Field Photographyのデモ。撮影した画像のフォーカス・エリアを後から変更した
写真2●Light Field Photographyのデモ。撮影した画像のフォーカス・エリアを後から変更した
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写真3●中国Neusoftが開発している車載用コンピュータ・システム「ADAS」の例。画像を解析し運転している自動車の周辺情報を鳥瞰図として示す
写真3●中国Neusoftが開発している車載用コンピュータ・システム「ADAS」の例。画像を解析し運転している自動車の周辺情報を鳥瞰図として示す
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 近年、「企業の社会的責任」という言葉が盛んに使われるようになった。半導体の巨人・米インテルにとっては、ITと社会の将来像を提示しリードすることも責務の一つといえる。2008年4月2日から3日にかけて、同社が中国・上海で開催した開発者会議「Intel Developer Forum(IDF)」では、最新デジタル技術のトレンドが紹介された。

 その1つが、米Refocus Imaging社が持つ画像処理の新技術「Light Field Photography」だ。「光を画素単位で拾うのではなく、空間中にある光線を3次元的にとらえ、画像データとして納めるもの」(インテルの研究開発部門Intel Research ディレクタのアンドリュー・チェン氏)という(写真1)。

 デモではこの技術をデジカメに適用した例を見せた。デジカメに適用するメリットの1つは、後から任意にフォーカス・エリアや被写体深度を変えられること。壇上では、フォトグラファーが3人のモデルを撮影し、後からソフトウエアで任意にフォーカス・エリアや被写体深度を変えるデモを見せた(写真2)。3人のモデルを撮影した写真が変わっていく様子に、IDFの会場はどよめいた。

 「これまでフォトグラファーは被写体をイメージ通りに撮影するために、重いレンズを何本も持ち歩いていた。この技術を使えば、その必要はなくなる。デジタル技術は、物理の制約を取り払うことさえもできる」(チェン氏)。標本データの保存など科学分野への適用も考えられるという。

クルマに360度の眼を与える

 自動車が今や電子機器の塊(かたまり)であることは言うまでもない。インテルは中国Neusoft社が取り組んでいる車載用コンピュータ・システム「ADAS」のデモを見せた。自動車に搭載したカメラでとらえた周囲の映像をリアルタイムで解析し、他の自動車や歩行者、交通標識を検出。運転席のモニタに位置関係を鳥瞰図として見せる(写真3)。

 運転手の利便性を高めるだけでなく、急カーブなどにさしかかった際に安全な速度になるまで自動的に速度を落とす、といった自動車の自動制御にも応用できる。ADASはインテル製のマルチコア・プロセサを採用している。「ADASは並列処理が可能なマルチコア・プロセサの登場で可能になった」(Neusoft 最高技術責任者のZhang Xia氏)という。並列プログラミングを専門とするジェシー・ファン氏(インテル中国研究センタのマネージング・ディレクタ)は、「マルチコア化の恩恵といえるアプリケーションだ」とNeusoftの取り組みを評する。

 インテルに限らず、プロセサはマルチコア化が進んでいる。処理を可能な限り並列化させれば、マルチコア化したプロセサの性能を生かすことができるが、並列プログラミングは難易度が高いといわれる。そこでインテルは「Ct」というC++用の並列プログラミング支援環境を用意している。開発者が記述したコードを解析し、並列処理の機構を組み込みやすくするものである。

「ゼタ」で医療と気象予測に革新

 インテルはここ数年、超高速処理を可能にするコンピュータで新しいアプリケーション分野を開拓する取り組み「ハイパフォーマンス・コンピューティング」に力を入れている。より付加価値の高いプロセサを売り込みたいというインテルの思惑があるのはもちろんだが、「これまでになく高性能なコンピュータが、オーダーメイド医療など、社会生活の質を高める活動に多大な貢献をする」(インテルのパット・ゲルシンガー上級副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長)という。

 ゲルシンガー氏は、「約20年後にはゼタ(10の21乗)FLOPS級の処理性能を持つコンピュータが実現する」と語る。このコンピュータが実用に入れば、「より詳しい気候予測が短時間で可能になる」(ゲルシンガー氏)。

半導体技術の応用でセンサーを高度化

 実際、気候予測に対するニーズは年々高まっている。ここ数年世界で目立っている台風などによる大災害は、地球の温暖化現象の現れだとも言われている。IT分野では「グリーンIT」というキーワードで地球温暖化対策に対する活動が始まった。

 インテルは半導体技術を応用し、大気中にあるメタンガスの量を検出できるセンサーを開発している。チェン氏は、「シリコン・テクノロジを応用することで、大気中に存在するより微細な物質の情報を検出できるようになった。地球環境の変化をより早期にキャッチするのに、大いに貢献するはずだ」と語る。