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ヴイエムウェアでシステムエンジニアリング部長を務める野崎恵太氏
ヴイエムウェアでシステムエンジニアリング部長を務める野崎恵太氏
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 「サーバー仮想化の価値は,単に複数台のサーバー機を1台に統合することによって生じるコスト削減効果だけではない。運用の自動化などにより,ビジネスを柔軟なものに変える力を持っている」---。こう指摘するのは,ヴイエムウェアでシステムエンジニアリング部長を務める野崎恵太氏。同氏は2008年4月25日,「仮想化フォーラム2008」で講演し,仮想マシン・ソフト「VMware ESX Server」の進化と現状を紹介しつつ,サーバー仮想化ソフトの「ビジネス価値」を説いた。

 サーバー仮想化ソフトの活用には,3つの段階があると野崎氏は説く。まず第1の段階は,複数のサーバー機を1台のサーバー機に統合することによる,ハードウエア導入コストの削減である。最も基本的な段階であり,野崎氏は「多くのユーザー企業がこの第1段階にとどまっている」と指摘する。次の第2段階は,仮想環境向けの各種の運用管理機能を使いこなすことによるTCOの削減である。物理資源の集合体であるリソース・プールを論理サーバーへ動的に割り当てるものだ。

 そして,現在のVMware ESX Serverで可能になっている第3段階のサーバー仮想化の姿が,運用の自動化(オートメーション化)による,ビジネス価値の向上なのだと説く。ユーザーが手動で運用しなくても,サーバー仮想化ソフト自らが仮想環境の稼働状況を監視/把握し,リソース・プール内での負荷分散やサーバー可用性の確保と処理の引継ぎ,必要に応じたオン・デマンドでの物理資源の追加などを実施する段階である。

 こうした3つの段階それぞれを支える運用管理機能を,VMware ESX Serverは提供しているという。第1段階のサーバー統合によるハードウエア・コストの削減では,VMwareならではの機能として,メモリーの透過的なページ共有が可能である点を挙げた。この機能は,複数の論理サーバーが単一のメモリーを共有することを可能にする機能である。例えば,仮想サーバーが10台ある場合,10台のサーバーはそれぞれ独立したメモリー空間を持っているが,同じメモリー消費をしている部分を共有化することで,割り当てる物理メモリー量を削減する,という機能だ。

 リソース・プールから論理サーバーに対して資源を動的に割り当てて運用管理コストを削減する第2段階では,VMotion,VMware HA,Storage VMotionの3つの代表的な機能を紹介した。VMotionは,稼動中の論理サーバー機を,他の物理サーバーのESX Serverへと物理的に移動させる機能である。VMware HAはハートビートによる生死の監視によって処理を引き継ぐことによる可用性の向上だ。Storage VMotionは,VMotionのストレージ版であり,論理サーバーがアクセスしている共有ストレージのデータを,論理サーバーを停止させることなく別の物理ストレージへと移動させる。VMotionは「我々の顧客の56%が使っている」(野崎氏)というほど一般的になっているという。

 第3段階の運用の自動化は,まさに仮想サーバーの真骨頂であり,仮想サーバーならではのメリットを企業にもたらすという。具体的なESX Serverの機能として野崎氏は,リソース・プール内での物理サーバーの負荷状況に応じて自動的に仮想サーバーを移動させて負荷分散などを実施するVMware DPS機能や,夜間など負荷が小さい時に,稼働中の仮想サーバー機を少数の物理サーバーに寄せて物理サーバーの電源を落とすVMware DPM機能などを紹介した。

 さらに,物理サーバーでは不可能な,サーバー仮想化ソフトならではの機能として,VMware Update Managerを紹介。これは,パッチ管理を自動化する機能である。仮想サーバー上で動作するゲストOSへのパッチ当て作業を自動化できる。ある仮想サーバーがあった時,これとは別に立ち上げた仮想サーバーにパッチを当てる。ここで,パッチを当てた仮想サーバーに業務を引き継ぐことで,サーバーを再起動することなくOSにパッチを当てる運用も可能になる。スナップショットによる履歴管理も可能なため,パッチを当てる前の状態に戻すロール・バックも可能だ。

 2008年内の早い段階で,Site Recovery Managerと呼ぶ機能をリリースし,遠隔地の別サイトにある別個の仮想環境との間でDR(災害時リカバリ)も可能にする。また,現在開発中の機能として,Fault Tolerant機能があるという。これは,ESX Serverを動作させた複数の物理サーバー機を2重化構成で運用する機能である。常時データを同期して運用することで,どちらか一方に障害が発生した際に,もう一方が生きていれば処理が止まることがない,というものだ。

 サーバー仮想化ソフトを安心して使えるようにする機能として,Security APIと呼ぶ,仮想レイヤーでセキュリティを確保する機能についても触れた。ウイルス対策機能やIDS/IPSなどのセキュリティ機能をサーバー仮想化ソフトの層で提供することにより,その上で動作する個々の仮想サーバーを安全に使えるようにしようという試みである。セキュリティ・ベンダー各社が開発を表明しているという。