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 「仮想マシンにアプリケーションを展開するのに,OSとアプリケーションを組み合わせたディスク・イメージを個別に用意するのは効率が悪い。OSとアプリケーションは,分離して管理すべきだ。そのために,サーバーOS上でもアプリケーション仮想化を使用する」,米MicrosoftのBob Muglia氏は4月29日(米国時間),「Microsoft Management Summit」でサーバー仮想化管理に関する新しい方針を明らかにした。

 Microsoftでサーバー製品群を統括するSenior Vice PresidentであるBob Muglia氏は,現在のサーバー仮想化環境管理手法を「効率が悪い」と評価する。現在,仮想化したサーバーに対するアプリケーション展開手法として主流であるのは,OSとアプリケーションをインストールしたハードディスクのイメージ(仮想ハードディスク・ファイル)を,仮想マシンに対して配布するというものである。同社の仮想化環境管理ソフト「System Center Virtual Machine Manager」も,基本的にこのような手法を採用している。

 ディスク・イメージをコピーするだけの現在の手法は,物理マシンに対するアプリケーション展開(OSのインストールに続いてアプリケーションをインストールするというもの)に比べると,かなり効率的である。それでもMuglia氏は「アプリケーションが1000種類あったら,OSも1000回セットアップする必要がある」と,非効率だと指摘する。また,OSやアプリケーションに新しい修正プログラムが登場したら,再度ディスク・イメージを作り直さなければならない。OSとアプリケーションを統合して管理する限り,効率的な管理が実現できないというのが,Muglia氏の主張である。

アプリケーション仮想化をサーバーでも使用

写真1●ハードウエア仮想化を行った上で,アプリケーション仮想化も実行するというプランを示した
写真1●ハードウエア仮想化を行った上で,アプリケーション仮想化も実行するというプランを示した
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 Muglia氏はサーバー仮想化環境の管理を効率するためには「アプリケーション仮想化を使用すべきだ」と主張する(写真1)。アプリケーション仮想化とは,アプリケーションごとに仮想的なシステム・ファイルやシステム・フォルダ,レジストリなどを用意し,アプリケーションを「仮想的なシステム環境」で動作させるという技術だ。アプリケーション仮想化を利用すると,アプリケーションをOSにインストールする必要はない。アプリケーションの実行ファイルをOS上で実行するだけで,どのようなアプリケーションでも実行可能になる。

 既にMicrosoftは,デスクトップOS向けに「Microsoft Application Virtualization(旧名称:SoftGrid)」という,アプリケーション仮想化技術を提供している。Microsoft Application Virtualizationを使うと,アプリケーションをOSにインストールせずに使用できるほか,通常では同一マシンで実行できない複数バージョンのMicrosoft Officeなどを,同時に実行可能になる。

 今後はサーバーOSでもアプリケーション仮想化機能を利用することで,サーバー・アプリケーションでも「アプリケーションのOSへのインストール」を不要にするというのが,Microsoftの新しい方針だ。こうすることで,仮想マシンに対するアプリケーションの配布は,(1)OSイメージの配布,(2)アプリケーション・ファイルの配布--に分離される。ユーザー企業は,単一のOSイメージだけを管理すればよいし,アプリケーションの展開も,アプリケーション・ファイルの配布だけで済むようになる。

 Microsoftはサーバー向けにアプリケーション仮想化技術を提供する時期を明らかにしていない。ただし,アプリケーション仮想化技術自体は,デスクトップ向けに既に使われている技術である。そう遠くない時期に,サーバー向けアプリケーション仮想化技術がリリースされるものと思われる。

バーチャル・アプライアンスは「モノリシックなアイデア」と批判

写真2●System Centerのプロダクト・プランニングを担当するDirectorであるRobert D Reynolds氏
写真2●System Centerのプロダクト・プランニングを担当するDirectorであるRobert D Reynolds氏
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 サーバー仮想化に関しては最近,「バーチャル・アプライアンス(仮想アプライアンス)」というアイデアが広まりつつある。バーチャル・アプライアンスとは,OSとアプリケーションを組み合わせたハードディスク・イメージのことである。イメージ・ファイル単位でアプリケーションが展開できることから,サーバー・ハードウエア単位でアプリケーションが展開できる「アプライアンス・サーバー」になぞらえて「バーチャル・アプライアンス」と呼んでいる。

 MicrosoftでSystem Centerのプロダクト・プランニングを担当するDirectorであるRobert D Reynolds氏は記者会見で,バーチャル・アプライアンスを「モノリシック(一体型)なアイデアだ」と批判する(写真2)。「サーバーOSやアプリケーションは,コンポーネント化する方が効率的に管理できる。そのためにはアプリケーション仮想化を使うのが望ましい」とReynolds氏はMuglia氏の基調講演を補足している。

最終的には「モデル化した管理」が必要

写真3●サーバー管理には「モデル化」が必要だと強調
写真3●サーバー管理には「モデル化」が必要だと強調
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 なおMuglia氏は基調講演で,システム管理をさらに最適化するためには,「OSやアプリケーション管理のモデル化が必要だ」と主張する(写真3)。Microsoftの言う「管理のモデル化」とは,システムの管理に必要となる知識を,汎用性のあるデータ形式でモデル化することを指す。Microsoftはサーバー構成管理製品の「System Center Operations Manager」に「管理パック」という機能を実装しているが,これが管理のモデル化の一例である。

 Operations Managerの管理パックは,「アプリケーションの負荷が高い場合に警告を出すべきしきい値」などの,アプリケーション開発者自身が設定した「設定ファイル」の集合体である。システム管理者は,この管理パックをOperations Managerにインストールすれば,個別のアプリケーションの運用管理が実行できるという仕組みである。

 Muglia氏は基調講演で「仮想化技術と管理のモデル化を導入することで,(システム管理者がシステムの構成を動的に変更できる)『ダイナミック・データセンター』が実現する」とアピール。同社では2003年以来「ダイナミックIT」というコンセプトを述べ続けているが,それがようやく完成に近づきつつあると強調した。