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図1 今後のスケジュール
図1 今後のスケジュール
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 総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第13会会合が,2008年5月20日に開催された。この日の会合では,事務局である総務省から報告書案が示された。出席者からの異議は無く,この報告書案はまもなく公開の上パブリックコメントが募集される計画である。

 この懇談会は,地上アナログテレビ放送の終了で空く周波数のうち,VHF帯の利活用に向けた方策を検討している。前回までの会合で,VHF帯のうちローバンド(第1から第3チャンネルの18MHz幅)については地方ブロック別デジタルラジオ放送(MFNを導入),ハイバンド(第4~第12チャンネルのうちの高域側の14.5MHz幅)については,全国向けマルチメディア放送(SFNを導入)に割り当てることなど,さらには地方ブロック別デジタルラジオ放送のアンダーレイの形でデジタル新型コミュティ放送の実用化を図ることで,ほぼ委員の合意がとれていた。

 その一方で,これまでの議論では技術方式を統一するのか,あるいは複数技術を導入して技術間競争を導入するか,といった点が焦点になり,報告書でどういう方向性を打ち出すかに注目が集まっていた。今回の案では,複数の技術方式を認める考えを打ち出した。さらに全国向けマルチメディア放送の周波数割り当ての方針として,移動系電気通信業務に導入されている認定計画制度を参考にして,「国が全国向け放送について求める条件,事項などを定めた無線局の開設方針を定め,これに則した形で事業者が作成した計画を比較審査するという仕組みを導入することが考えられる」とした。

 全国向けマルチメディア放送の事業者数については,ソフト事業者間の競争環境を確保するため,2~4事業者程度という数字が示された。ハード事業者については,「1とするのが適当である」としつつも,「競争の効果が期待できることや,現時点で参入を検討している事業者が複数(二重投資)となっても事業性を確保できると考えていることを踏まえれば,2とすることも考えられる」とした。なお,ハードとソフトと分離については,ハード事業者のインセンティブを確保するためにも「分離制度を導入したとしても,一定の条件の下で優先的にソフト事業者になれるように措置することが考えられる」とした。

 こうした整理のもと,技術方式については,「同一の技術方式が用いられるが望ましい」としながらも,「事業者から複数の技術方式の規格化について希望が出された場合には,すべての規格を国内規格することを検討することが適当」とした。なお,「今後いずれかの段階で技術方式が統一されることが望ましいと考えられることから,事業者において多面的かつ十分な検討が求められる」としている。

 比較審査については,随所に審査項目に関する記述が行われている。例えばサイマル放送の扱いの項目の中で,「サイマル放送が過度に増えるとマルチメディア放送の新規性の観点が好ましくない」との理由で,「例えば事業者の比較審査の際に新規コンテンツを盛り込んだ放送を多く有する事業者を優先することなどが考えられる」としている。また,有料放送・無料放送の別という項目では,「一定程度の無料放送を確保するものを優遇するなどの仕組みを検討することも考えられる」とした。さらに,端末の普及の施策という項目では「受信端末の普及のための施策を審査項目にするなど,事業者による取り組みを促進させるような仕組みを検討させることも考えられる」とした。なお,マルチメディア放送の受信端末の普及のためには,「全国向け放送」「地方ブロック向け放送」およびそれらの間で,同一の技術方式を用いることが効果的と考えられるとしている。

<ラジオ放送>
 地方ブロック別デジタルラジオ放送については,今後の検討としている部分が多い。例えば,誰がどのようにブロックを区分けするのか(例えば,どの位の数の県を一つのブロックとするのか)である。また,ソフト事業者の数についても,「複数事業者の参入を前提とするのが適当」としているが,元々18MHz幅の周波数を各地域で細分化して利用することになっているため,各ブロックで実際に利用できる周波数が狭くなる。このため数については今後さらに検討が必要とした。ハード事業者の数については,ブロックごとに一つとすることが適当とし,さらに複数ブロックあるいは全国で一つとすることも考えられるとしている。なお,デジタルラジオ放送の技術方式については1方式とすることが適当としている。

<今後の計画>
 今後の計画としては,2011年7月以降に,速やかに事業を開始できるように,直ちに制度技術面の具体的な検討を開始する(図1)。具体的には,(1)2009年中に,事業者の参入のための条件整備を行う,(2)2010年半ばをメドに,サービスを提供する事業を確定させる,というものである。特に技術面については,早急に国内規格とする技術方式の公募を行い,2008年中に情報通信審議会で各種の技術的検討を開始,2009年中に関係省令を定める。さらあには電波産業会において,標準規格や運用規定のとりまとめが早期に行われることが期待されるとしている。